イントゥワン社長 松田 晋(撮影:星 玄) |
2008年度、心の病で労災認定された人は、3年連続で過去最多を更新した。また日本生産性本部の調査によれば、うつ病など心の病からの復職者が在籍する会社は7割を超える。
休職者が増えれば、当然ながら企業の負担は増す。当該業務の埋め合わせや復職支援、当該社員周辺の社員たちのモチベーション維持などに、手間もコストもかかるためだ。休職者への対応や予防は、企業にとって喫緊の課題である。
人材や組織のコンサルティングサービスを主力とするイントゥワンの松田晋は、「個々人の性格は変えられないし、メンタルを鍛えることはできない」と、まず釘を刺す。そして、解決策は、「その人がストレスを感じにくい環境づくりや、組織として最大の成果を導ける人の組み合わせを探す努力をするしかない」という。
この考え方に基づいて、個人の特性と組織、対人関係の特徴を把握できるテストを開発した。個人のストレス耐性のみならず、組織自体の特徴がわかるほか、それらのデータをさらに分析して、オプションとして採用基準や、配置・復職基準などの策定も請け負う。
つまり、心の病を患う人への対応にとどまらず、“予防システム”を提供できるのが最大の強みだ。現在、同テストの導入企業は300社を超える。
イントゥワンが手がけるような、職場のストレスや人間関係などの分析によって従業員の生産性低下の原因を突き止め、カウンセリングや研修によって解決を促す従業員支援プログラム(EAP)の導入は、日本では始まったばかりだ。米国では広く浸透しており、すでに就業人口の7割に普及し、市場規模は約2700億円に達するという。「日本にもニーズは必ずある。米国並みの普及を目指す」。