日本銀行が2013年4月3日、4日の金融政策決定会合で異次元金融緩和政策を導入してから2年がたった。この政策の導入当初、2年程度の期間で目標を達成すると想定されていたので、導入後2年たった現時点でその総括をすることは、是非とも必要とされるだろう。
結論をあらかじめ要約すれば、この政策は円安をもたらして株価を上昇させたが、実体経済には影響を与えることができなかったということである。
日銀の高値購入で
国債市場が歪んだ
異次元金融緩和により、日銀の国債購入額は急激に増えた。この状況を詳しく見ておこう。
保有主体別国債残高の推移は、図表1に示すとおりだ。
日銀保有国債は、2006年から10年頃までは減少していたが、11年頃から緩やかに増加していた。それが、異次元緩和によって急激な増加に転じた。
日銀、預金取扱機関(銀行、郵便貯金等)、および保険・年金基金の合計に対する日銀の比率を見ると、10年3月には10.2%でしかなかったが、14年12月には29.1%と、約3倍に上昇した。
預金取扱機関の保有国債残高は、13年3月の315兆円がピークで、それ以降は減少した。14年12月では272兆円だ。この間の減少額は43兆円になる。国債は、金融機関のポートフォリオを構成する重要な要素だ。その残高がこのように1割以上も減少してしまったのは、ポートフォリオ最適化行動の結果とは思えない。そうではなく、日銀の巨額の購入によってポートフォリオ最適化が乱された結果と見るべきだろう。
これに対して、日銀の保有国債残高は、13年3月の94兆円から113兆円増加して、14年12月では207兆円になった。これは、総資産317兆円の65.3%になる。