電力・ガス料金には、LNGの価格の影響が大きい。写真はLNGタンカー
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 原油価格の低迷が続いているのに電力料金やガス料金が下がらない、という報道をよく目にする。

 しかしこれは、実は当然なのである。そもそも原油価格の下落が、発電の燃料、ガスの原料であるLNG(液化天然ガス)価格に反映されるには時間が掛かること、さらに電力会社・ガス会社が原燃料価格の変化を料金に反映するのに時間差があることが要因だ。

 大まかに言えば、原油価格の変化が電力料金・ガス料金に反映されるまでには、6~7ヵ月のタイムラグがあるのだ。つまり、10月~12月の原油価格下落を受けて、それらの料金が下がるのは6月~7月以降、ということになる。

原油の国際市場価格の変動が
波及するまでには時間差がある

 以下では、その仕組みをもう少し詳しく説明しよう。

 まず、テレビや新聞で報道されているドバイ原油やWTI原油といった原油のいわゆる「国際市場価格」が、日本の「輸入原油価格」に影響し、さらにそれを元に輸入LNG価格が決められるのだが、それぞれの間にタイムラグがある。

 下のグラフは、「国際市場価格」である円建てドバイ原油価格、日本が輸入している原油の平均価格と、日本が輸入しているLNGの平均価格の推移を示したものである。それぞれ、値動きは類似しているものの「価格の山谷」に時間差があることが分かる。

「日本が輸入している原油の平均価格」はJCC(Japan Crude Cocktail)、「日本に輸入されるLNGの平均価格」はJLC(Japan Liquefied Natural Gas Cocktail)であり、いずれも貿易統計を用いて計算によって求められている。分かりやすくするために、以降では、JCCを「輸入原油価格」、JLCを「輸入LNG価格」と表記している。