今後の中国の不動産市場そして中国の経済成長を予測する上で、中国の都市化の進展も見逃せません。現に、1990年以降17年間の中国の都市化の成長速度を見てみると、毎年平均で1.1ポイントの成長を示しており、この時期の中国の経済成長の70%はこの都市化がもたらしたものであるといわれています。

 また、都市地理学の理論によると、都市化率が30%~70%の間が都市化速度が最も早くなる時期とのことです。実際に、中国では1985年に30%を超えてからの2006年までは年平均1.4ポイントの増加となっています。下記【表1】によると2036年に70%を超える予測(国連の2002年時点の予測でも2030年に60%となっている)となっておりますが、言いかえればこの期間は中国経済の高度成長が続くとも考えられるわけです。

 実際に、中国政府の計画においても、2020年から2030年までに現在の農村人口8億人のうち4億人程度を都市人口に組み込みたいとの目論見のようです。さらに上海市の例を取って見ても、上海市郊外の農村地区に10の衛星都市を現在建設中で、これら衛星都市は上海市内から地下鉄や郊外型鉄道でつながれようとしております。

 今後はこれをさらに発展させ、最終的には70余りの衛星都市群を作るということです。これはちょうど東京が山手線を中心にJR、私鉄を含めた多くの郊外型鉄道が延び、その沿線に衛星都市、ベッドタウンがぶら下がっているのを思い浮かべば分かりやすいかと思います。

【表1】中国の都市化の進展と成長速度の予測(出典:国泰君安証券研究所)
※棒グラフが都市化率、曲線が増加率
【表2】都市化増加率による都市化率70%実現時期の分析(出典:上記と同じ)

 なお、上記【表2】は2006年時点で予測した都市化率70%に到達する時期を示したものです。仮に1985年から2006年までの平均成長率1.4ポイントを今後も持続したとすると、2024年には70%が実現する計算となります。したがって、【表1】の予測もある程度今後の経済の調整局面も考慮した上での数字といえます。

【表3】都市化増加率と住宅需要の相関関係(出典:上記と同じ)

 上記【表3】は、都市化増加率から導かれる住宅需要の増加面積を示しています。直近3年間の年平均住宅竣工面積は4億平米ありましたが、これも都市人口の増加と住宅需要により消化され、現状の開発規模も今後とも維持されるものとみられています。