子どもを手づくりで育てると
わが家の味を求めて帰ってきます

 それにしても今は、とにかくみなさんが忙しい。忙しいということがご挨拶みたいになっています。

 忙しいと料理をすることもおっくうになりますが、やっぱり手づくりして、お母さん、おばあちゃん、お父さんの味を体に覚えさせてやってほしいですね。
 そうすると、将来、自分の家の味を求めて帰ってきます。

 子どもが大学生になると県外に出ていくことが多いですが、長期の休みになると帰省します。

 そのときに家の味を覚えている子と、売っている食品で育った子では全然違うのです。

 近所の繁華街で商店を出している家があって、お母さんがお兄ちゃんはこれ、弟はこれ、とそれぞれに好きなものを既製品で買ってきて、食卓に出していました。

 そうしているうちに子どもたちは進学で家を出ていったのですが、帰省しても子どもは家に帰らないで、友だちの家にいってしまう。

 でも家の味で育った子は、お母さんの味が食べたいから電話をして家に寄るし、お母さんもつくって待っているんですね。
家の味を体で覚えさせると言葉がなくても通じるんです。
子どもが出ていって初めて、お母さんは気づくのです。

 そのときは子どもも小さいから与えられたままにしているけれど、体は受け止めていない。だから子どもは家からだんだんと離れてしまうのです。