お父さんの料理もまた
印象に深く残ります
お母さんの料理も体が覚えていますが、お父さんがつくってくれためずらしい料理もまた、子どもの思い出の中に深く残るようです。
私の夫の出身地である津軽半島では、帆立貝の殻に卵と味噌を入れて焼く“貝焼き味噌”という郷土料理があるのですが、息子はそれを小さい頃に夫につくってもらって食べさせてもらったんですね。
それを覚えていたのか、あるとき自分の子どもにつくってやっていました。
家庭の味や郷土の味というのは、自然に伝わっていくものなのですね。
お料理もね、お子さんと一緒にやるとほんとうにいいですよ。
ここにある食材を見て、この野菜をどのようにすれば一番おいしいか、一緒にレシピを考えてみる。足りないものがあれば別のものを入れて工夫してみる。
こうしたほうがいい? こうしようか? とお子さんと話しながら創作して、できるのは喜びですし、また食べる人も大きな喜びになります。
食を楽しくすると家庭の中が楽しくなるし、いい思い出ができるんですね。
「今の子どもたちは……」とよく言いますが、子どもではなく、大人の生活そのものが子どもの生活に反映されています。
言わなくても子どもは大人を見ています。
だから教えたいことはやらないのに、教えたくないことをちゃんとやる(笑)。
だからまず、わたしたち自身が毎日の生活をきちんとととのえる、そして素直に透明になって子どもを受け止める、そのことを忘れないようにしたいですね。