世界で4840軒ものホテルを展開する英インターコンチネンタル・ホテルズ・グループ(IHG)。日本では2006年12月に全日空と合弁会社(IHG・ANAホテルズグループジャパン)を立ち上げ、今では32軒・約9500室を展開する。20年の東京五輪に向けて日本のホテル市場が拡大するなか、国内最大の外資系ホテル運営会社はどのような戦略を持つのか。08年から12年までANAインターコンチネンタルホテル東京の総支配人を務め、日本と海外のマーケット双方をよく知るファーガス・スチュアートCEOに話を聞いた。(聞き手/週刊ダイヤモンド編集部 柳澤里佳)

新ブランドのホテルも数カ月以内にお目見え <br />インターコンチネンタルの日本戦略 ファーガス・スチュアートCEO/1963年生まれ。ロンドンのランドマークホテルやアジア各国のシャングリ・ラ・ホテルなどでキャリアを積み、プーケットとエジプトのハイアット・リージェンシーでは総支配人を務めた。2008年から12年までANAインターコンチネンタルホテル東京の総支配人となり、クラブラウンジやレストランの大規模改装を行うなど同ホテルの競争力を強化した。2014年1月から現職。日本駐在は2年ぶり2回目
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――日本のホテルマーケットをどのように見ていますか。

 今後5年間は非常に明るい見通しです。外国人旅行者が過去最高の1300万人を記録し、東京、大阪・京都、沖縄は非常に盛り上がっています。それ以外の地方都市はこれからでしょうね。いずれにしても円安影響でインバウンド(訪日旅行)、日本人の国内旅行志向、両方がプラスに働いています。

 一方、20年の外国人旅行者2000万人に向けてホテルが足りなくなるのは確実です。私たちは重要な受け皿として日本でのビジネスを拡大したい。インターナショナルブランドであるIHGと、日本の皆さんに親しまれているANAの両方のブランドがある強みを生かしていけると思います。

 オリンピックは、実際は数週間で終わってしまいます。むしろ今から開催までの期間が重要です。関係者の視察やイベントなど国内外から多くのビジネス需要があるからです。
ホテルブランドとしては最高級のインターコンチネンタル、高級のANAクラウンプラザ、中級のホリデイ・イン、そのファミリーブランドで日本ではまだ展開していない宿泊主体型のホリデイ・イン エクスプレスがありますが、特にホリデイ・インやエクスプレスを拡大していきます。

――ホリデイ・インやエクスプレスの日本での認知度はいまひとつですが、どのような出店計画ですか。

 確かに、両ホテルは世界で3500軒以上ありますが、日本での本格展開はこれからです。全世界で8400万人いるIHG会員、海外のお客様が「日本にはなぜホリデイ・インがないんだ」と探してらっしゃるわけです。だから早く増やしていかないと。

 日本のお客様に対しても、宿泊特化型ホテルのニーズが非常に高まっているので、エクスプレスが出来た暁には、その良さを知って頂けると確信しています。

――良さとはなんですか。

 手頃な値段で効率的なホテルライフを楽しんで頂けます。快適なベッドとリネン、使いやすく清潔なシャワー、スタンダードな朝食をきちんと提供しています。ビジネスセンターや宴会場はありません。