つまり、異常気象や天候の影響に対しては、そうなることを前提にして、個人と組織で準備しておくことが重要です。長雨や干ばつで生産量が多少左右されても、収穫量が大きく左右されないように準備することが大事なのです。

 そのためには、栽培する畑の状況(水はけ、傾斜、灌水設備の有無、風の向きなど)を知り、栽培する畑を分散することから始めます。さらに、栽培する野菜や品種を分散させたり、肥料を変えたりするのです。

 そうすることだけでも被害を最小限にすることができます。常にいろいろな天候リスクを考え、対策をシミュレーションしておくことです。

被害が出たのは
こちらに原因がある

 平成26年2月14日、たった半日の間に、私たちの地域に1メートル50センチもの大雪が降り積もりました。77歳になる父も初めての経験だそうですから、当然、私には経験のないことでした。

 私はちょうどドイツで行われていた有機食品の展示会から帰ったときでした。東京で足止めになり会社に戻れず、東京で2泊過ごすことになりました。

 気が気でない中で社員から情報を聞き、100棟あるハウスがどのようになっているか想像しました。私の農場のハウスは1メートルの積雪には耐えられるようにブレスという筋交いを入れてありました。

「耐えられているか、つぶれていないか」と心配しながら、2日後になんとか農場に戻ることができました。

 現場に行く途中、遠望したところ約8割のハウスが倒壊していることが見て取れました。周りでもたくさんのハウスがつぶれ、「大雪の影響で……」と私も思いました。しかし、私の農場から1キロメートルくらいのところにあるハウスはつぶれていなかったのです。