お客さまに「買いたい」と思ってもらうには、「所有欲」を刺激することも重要です。
人は「豪華さを感じるもの」「心を刺激されるもの」「今まで持っていなかったもの」に出会ったとき、「この商品を欲しい」と思います。これは人間に「所有欲」があるからです。まだ持っていない豪華なもの、心を刺激されるものなどを手に入れることで、自分の欲望を満たそうとするのです。
このときの「モノ」は、自分の延長線上でもあります。いいモノを手に入れることで、他人から褒めてもらう。それによって、自分自身が褒められたように感じたいのです。一般に、自分が憧れるものには、他人も憧れます。自分が憧れるものを買うことで、人に憧れの目で見てもらおうというわけです。
「常識の中の奇抜さ」で、
買いたい気持ちを高める
そう考えると、どうすればお客さまの所有欲を満たせるかがわかります。お客さまにとって大事なのは、人から「素敵ね」と言ってもらうことです。それには「みんなが持っているようなもの」ではダメですが、かといってあまり奇抜すぎるものも好まれません。色や形がちょっと変わっている程度のもの、いわば「常識の中での奇抜さ」が求められるのです。
たとえば、水玉模様が流行っているとき、みんなと同じ水玉ではおもしろみがありません。だからといって、水玉からかけ離れたデザインでは、周囲との一体感が得られない。大事なのは、一体感を得ながら、いかにして個性を発揮するかです。同じ水玉でもちょっと変わっている。そんな商品に出会ったとき、所有欲が刺激されるのです。
商品を勧めるときも、そこを意識することがポイントです。「水玉は今年の流行ですよね」ではなく、「この服は流行の水玉を使っていますが、色使いがちょっと変わっているんですよ」と言うほうが、「欲しい」という気持ちを刺激します。
あるいは流行とは関係のない、オーソドックスなデザインを勧めるときも同様です。たとえば、ストライプ柄が欲しいというお客さまに対して、「こんなストライプ柄はいかがでしょう」とただ言うのではなく、そのストライプの個性を伝えるのです。
「お客さまは体格がよろしいから、太めのストライプ柄がお似合いですよ」と提案したり、「このストライプは一見オーソドックスに見えますが、実は1本1本模様を変えてあるんです」と商品のこだわりの部分を説明する。