米国を信頼していいのか?
日本はどう動くべきなのか

 今、よほど鈍感な人でないかぎり、「米中関係が急に悪化してきた」ことに気がついている。そして、多くの「反米論者」は、日本が米国につくことに反対で、「米国はハシゴを外す!」と警告している。

 彼らの主張は「日本が米国を信じて中国と争っていると、米国は、突然中国と和解し、日本は単独で中国と戦うハメになり、ひどい目に遭う」ということ。要するに米国は「日本と中国を戦わせ、自分だけ漁夫の利を得ようとする」というのだ。

 これは「まっとうな指摘」と言わざるを得ない。われわれは、大国が「敵」と戦う戦略には、大きく2つあることを知っておく必要がある。

1.バランシング(直接均衡)…これは、たとえば米国自身が「主人公」になって、中国の脅威と戦うのである。
2.バックパッシング(責任転嫁)…これは、「他国と中国を戦わせる」のだ。もっとわかりやすくいえば、「米国は、日本と中国を戦わせる」のだ。

  そして、事実をいえば、どんな大国でも「敵国と直接対決するより、他の国に戦わせたほうがいい(つまり、2のバックパッシングの方がいい)」と考える。リアリストの世界的権威ミアシャイマー・シカゴ大学教授は言う。

<事実、大国はバランシングよりも、バックパッシングの方を好む。なぜなら責任転嫁の方が、一般的に国防を「安上がり」にできるからだ。>(大国政治の悲劇 229p)

「米国が直接、中国と戦うより、日本に戦わせたほうが安上がり」。ひどい話だが、これが世界の現実である。

 そして、われわれは、「バックパッシング」の例を知っている。たとえば、03年の「バラ革命」で、親米反ロ政権ができたジョージア(旧名グルジア)。この小国は08年8月、ロシアと戦争し、大敗した。そして、「アプハジア」「南オセチア」、2つの自治体を事実上失った(ロシアは、この2自治体を「独立国家」と承認した)。

 もう1つの例は、ウクライナである。14年2月の革命で、親ロシア・ヤヌコビッチ政権が打倒され誕生した、親欧米・反ロ新政権。オバマ大統領は最近、CNNのインタビューで、ウクライナ革命が「米国の仲介で実現した」ことを認めた(その映像は、ここで見ることができる)。

 つまり、ウクライナは、米国に利用され、ロシアと戦うハメになったのだ。結果、ポロシェンコ政権はクリミアだけでなく、ドネツク州、ルガンスク州も事実上失ってしまった。これらの例から、日本は「米国に利用されること」には、常に敏感であるべきだ