すでに流通サイドでは
「編集者不在」が当たり前に

 では、流通サイドの編集者に求められるスキルから見てみましょう。私は、ヤフー・トピックスが流通サイドの編集の元祖だと思っているのですが(それ自体はどうでもいいことですが)、そこに勤める編集者の仕事は、一日4000本もの記事のなかから、どれが大切な記事かを判断し、伝えるべきニュースや伝えたいニュースを選び、優先順位を付けることです。この流れを分解すると次のようになります。

・価値ある記事をピックアップする
・関連するサイトを集めてきてまとめる
・13文字の見出しをつける
・硬軟バランスよく編成する

 どれも大事なプロセスです。しかし、ここで問題になるのは価値ある記事をピックアップするキュレーション能力です。目利き力については、キュレーターの役割として第1回で触れました。この力が弱くなってくると、意図や意思のない、ただ閲覧数を稼ぐことだけを目的とした「なんてことのない記事」や、信じていいのかどうか怪しいサイトの「まとめ」が並び始めます。そうなると人間が介在する意味などなくなってしまいます。

 多くのキュレーションアプリでは、もはや「編集者」がいません。価値があるかないかは編集者の価値観ではなく、外的な要因で決定されます。さらに、アプリが見出しを付けることはありませんし、なんらかのロジックに基づいた編成が実行されています。

 人力で作業を行っている「Yahoo!ニュースアプリ」を、機械が作業を行っている「スマートニュース」「グノシー」がダウンロード数で抜いているというのですから(第2回参照)、アクセス数やシェア数に基づいたり、ほかの明文化されたロジックに従ったりして、記事をピックアップするような編集者は、すでにテクノロジーにとって代わられ、不要と宣言されているということなのでしょう。編集者が介在して利益が上がるなら、そうしているはずです。ヤフトピが編集者を介在させているのは、利益はともかく、そうすることで(今のところ機械にはできない)情報に対する信頼が担保できると考えているからです。

「NAVERまとめ」「Togetter」も、わざわざ高給な編集者を雇いません。そんなことをしなくても、ソーシャルの力で、次々と「まとめ」を作って行ってくれるのですから、わざわざ高い人件費を支払ってまでして、まとめを作ることに価値を感じていないとも言えます。

 IT企業が要衝を押さえた流通サイドのメディアでは、すでに職業的な編集者が介在することの意味を見出しておらず、編集の省力化が始まっているのです。要は、ありものを組み合わせるだけだったり、価値基準を自分の中に持たない編集者は役割を終えてしまいました。