つまり、今回の個人型DCの大幅拡充は「今後は国で老後の面倒をみる部分は減っていくので、国民は自分で老後資金作りをするように。そのために環境(仕組み)は整えるし、特典は用意するからね」ということなのだ。

 現状の仕組みだと、フリーランスから会社員になる、企業年金の制度が異なる会社に転職する、結婚後に第3号になるといったライフコースの変更があると、掛金の拠出が続けられないなど不具合がある。今回「だれでも加入できる個人型DC」になることで、転職や退職などライフコースの変更に対応できるようになる。これが、「自助努力による老後資金作りの環境整備」だ。

「特典」のほうは、確定拠出年金制度が持つ「税制メリット」だろう。詳細は後述するが、確定拠出年金は個人年金保険などの民間の老後資金作りの商品に比べ、税制面でのメリットが大きい。

 国が「老後資金は国民自身で何とかせよ。努力するなら税金は安くするから」と言うなら、私たちは利用を検討すべきだろう。だだし、確定拠出年金に掛けたお金は原則60歳までは引き出せないため、無理のない範囲内で掛金を設定することが重要になる。

年24万円の掛金で
7万2000円の節税効果がある場合も!

 税金が安くなる「特典」がどんなものか見てみよう。個人型DCには、3つの税制メリットがあると言われている。

(1)掛金拠出時
 掛金が全額、所得控除の対象になり、その年の所得税と翌年の住民税が軽減される。

(2)運用期間中
 一般に金融商品は利息や運用益に税金がかかるが、DC制度では非課税となるので複利効果が高まる。

(3)受取時
 一時金で受け取るなら、「退職所得」として60歳までの加入期間に応じた一定の非課税枠があり、年金受け取りなら「公的年金等控除」の対象として金額に応じた一定の非課税枠がある。

 税制メリットを3つも受けられるDC制度は「いいことずくめ」に見える。確かに「(1)掛金拠出時の節税効果」と「(2)運用期間中の運用益が非課税」の2つは大きなメリット。しかし、「(3)受取時」の税制は必ずしも“いいこと”ばかりとはいえない。「受取時の税制」については、ちょっとややこしいので、次回のこのコラムで別途取り上げることにする。