企業再生などでの活躍によって、PEファンドへの理解がようやく進んできた

 プライベート・エクイティ・ファンド(PEファンド)が、にわかに注目を集め始めている。その背景には、資金調達側の意識変化と、資金運用側のニーズがある。これまで日本ではあまり日の目を見てこなかったPEファンドに資金が集まるようになれば、産業の新陳代謝が進むことにもなる。

 筆者は、既に連載第4回「プライベート・エクイティ・ファンド抜きの金融立国は可能か」にて、欧米におけるPEファンド発展の歴史と現状を踏まえてその重要性を説明しているが、今回は、最近なぜようやく日本でもPEファンドが注目されるようになってきたのかについて考えてみたい。

“得体の知れないもの”だった
日本でのファンドのイメージ

 PEファンドは、いわゆる「ファンド」の一種である。しかし、これまでの日本では、「ファンド」という言葉はあまり良いイメージで捉えられていなかったのではないだろうか。それには大きく2つの理由がある。

 第一に、高度成長期以来、日本では銀行、それも商業銀行こそが産業金融の主役であったため、それ以外の金融機能を「格下」と考える国民が多かったことだ。当の銀行員にも一種の「選民意識」が強かったと言ってよかろう。現に一流と言われる大学を出て銀行に就職するのは典型的なエリートコースと見られてきた。

 銀行は、強いローンパワー(融資をしているという優越的地位)を持ち、持ち合い株式も保有し、OBを送り込むなど、企業の意思決定に対する影響力は強大であった。企業のガバナンスは、実質的には銀行が担っていたと言っても過言ではない。

 証券・ノンバンクでさえ格下に見られる風潮がある中、ましてや「ファンド」などという得体の知れないものは豆粒のようにしか考えられていなかったのである。企業も、そのファイナンスをファンドに頼るなどという意識は微塵も持っていなかったと言える。