チプラス首相とユーロ圏諸国
双方にある“読み違い”

 首相に就任したチプラス氏は、EU等の交渉相手を強い調子で非難するなど強気一辺倒の交渉スタンスを貫いている。

 チプラス首相がこれほどまでに強気でいられる背景には、「最終的にはユーロ圏はギリシャを追い出せはしない」との思いがあるのだろう。また、ドイツの市場関係者にヒアリングすると、「チプラスはドイツ人の心理状況を理解していない」との指摘もある。

 ドイツやオランダなどの一部政府高官や企業経営者などからは、「早くギリシャを追い出した方がよい」との厳しい指摘が出ているのだが、チプラス首相は意に介する様子すら見せない。ドイツの親しい友人は、「ギリシャがチプラスに国を任せたことが問題だ」と厳しく糾弾していた。

 一方、ギリシャの国民性などを考えると、ユーロ圏諸国が同国に厳しい緊縮財政を課したことにも問題がある。元々、実現不可能なほどの条件をギリシャ国民に突き付ければ、どこかで彼らの我慢が続かなくなることは予想できたはずだ。

 ユーロ圏諸国からすれば、先に危機的状況を迎えたアイルランドが見事に立ち直ったことなどから、「ギリシャもできるはず」とのやや短絡的な見方になったのかもしれない。しかし、その前例をギリシャに当てはめることに無理があった。

 その結果、チプラス首相やバルファキス財務相(辞任することになったが)など、極めて稚拙な交渉技術しか持ち合わせない人材を相手に、難しい交渉をさせられることになった。その責任の一端はEUにもある。

 問題は、時計の針を戻すことができないことだ。ギリシャの国内事情やユーロ圏諸国の世論を考えるとその両者とも、さらに加えてIMFも既に引くに引けないポイントにまで差し掛かっている。落としどころを見出すことは容易ではない。