中学入試偏差値が低く、入学しやすくても、6年後の大学合格実績は高い「お得な中高一貫校」のランキング。その上位に入った、教育がしっかりした学校を紹介する。

 思いやりや正義感、一生を生き抜く力など、学校の教育を通じて子供に身に付けてほしいことはたくさんあるが、当然のことながら、学力もまた重要なものの一つだ。

 他のことは外部からはなかなか分からないが、「中高一貫校で過ごす6年間でどれだけ子供の学力が伸びるか」は相対的に見ることができる。

「中学受験の難度」(本稿では「入り口」学力と呼ぶ)と、「6年後の大学合格実績」(同様に「出口」学力)をそれぞれ偏差値で表し、出口が入り口に比して高いものをランキングした。

 言わば、「入りやすくて、大学合格実績が高い『お得な学校ランキング』」だ。在校期間の6年間で、生徒の学力を高めている学校である。

 学力や住まう場所の違いによって志望大学も異なるので、首都圏(で受験できる学校を含む)と西日本に分け、首都圏については直近(2015年)の入試偏差値の難度で中高一貫校を3つに分け、その中で比較した(これら4つの全表については、現在発売中の『ダイヤモンド・セレクト2015年8月号 中高一貫校・高校ランキング』をご覧いただければ幸いです)。

 本稿では、首都圏で入学難度の高い(偏差値56超)中高一貫校に2009年4月に入学した生徒の、6年後の今年の難関大学(旧7帝大と東京工業、一橋、早稲田、慶應、上智、東京理科の13大学)の合格実績を基に比較した。

 具体的には、中高一貫校ごとの「出口」学力を偏差値化し、それと、6年前の「入り口」学力をグループ内で偏差値化した「入り口偏差値」との差を伸長度としてランキングした(本稿の文末の「ランキングの見方」をご参照ください)。

「難関大学を狙える『お得な学校』」の11~50位や、偏差値56以下のお得な学校100校は、現在、書店で販売中の「ダイヤモンド・セレクト2015年8月号 中高一貫校・高校ランキング」をご参照ください

 6年前の社会の評価と実際の教育力とのギャップが良い意味で大きい学校が、上位に来る傾向にある。伸長度がマイナスの学校は、社会の評価が相対的に高過ぎたということだ。

ランキング第7位の頌栄女子学院は帰国子女が約2割。以前から校内はグローバル化している

 概観すると、伝統校は下位に、校長や教職員が教育改善を実施している学校が上位にあるようだ。

 毎年、各中高一貫校の大学合格実績を塾や保護者などの受験関係者が見て、さらに学校を訪問するなどして、各校を評価する。高い評価を得た学校は、志望者が増え、入試偏差値は上がっていく。そのため、このランキングの上位にあっても、すでに現在の入試偏差値が高くなっている学校もある。

>>「お得な中高一貫校」ランキングの30位までを掲載、上位に入った学校3校(女子校、男子校、共学)をピックアップして取材し、なぜ大学合格実績が伸びているのかなどについてレポートした詳細記事はこちらです。

ランキングの見方
 2009年の入試偏差値(「入り口」学力)に比べて、今年(15年)の「大学合格力」偏差値(「出口」学力)が大きい順に、ベスト50校をランキングした。上位の学校はこの基準で見て、6年間で生徒の学力が伸びた(伸長度の大きい)学校だ(▲はマイナスを示す)。15年の入試偏差値で3グループに分け、「大学合格力」を測る対象の大学を変えた。本稿では、現在の偏差値が56超の学校を対象に、難関大学(超難関大学<東京、京都、大阪、名古屋、北海道、東北、九州の旧7帝大と東京工業、一橋の9大学)に、早稲田、慶應、上智、東京理科を合計した13大学)の合格力で測った。詳細およびその他の3グループについては、現在発売中の『ダイヤモンド・セレクト2015年8月号 中高一貫校・高校ランキング』をご参照ください)。
協力:日能研、河合塾、大学通信
 
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