ウオロク(葛見久則社長)は新潟県内に31店舗を展開するスーパーマーケット(SM)企業で、2009年3月期の売上高は585億円。売場面積150坪の小型店から、4500坪のスーパーセンター(SuC)まで、マーケット特性や規模に合わせた柔軟な店舗開発が身上だ。一昨年9月に社長に就任した葛見久則氏に、今後の戦略を聞いた。聞き手/阿部幸治(チェーンストアエイジ)

葛見久則
くずみ・ひさのり 1962年生まれ、48歳。86年専修大学法学部卒業後、同年サミット入社。88年から2年間ヨシヅヤ。91年ウオロク入社。2001年取締役就任、05年より常務取締役。08年9月代表取締役社長就任。

──消費・景気動向が激変する契機となったリーマンショックが起こった08年9月、社長に就任されました。

葛見 葛見正樹前社長は非常に健康で元気な方でしたので、その急逝はまったく予期していませんでした。しかし、それはそれとして現実を受け止めなければなりませんし、跡を継ぐ人間は私しかいません。幸い、社員全員がしっかりと結束し、一生懸命努力してくれるおかげで、混乱もなく順調に毎日の営業を行うことができています。

 リーマンショック後は、誰もが言っていますように、内食化傾向が進んだことで、むしろ食品小売業にとっては追い風となりました。売上高を確保しやすい状況が続き、09年6月くらいまでは既存店売上高対前期比が伸び続けました。その後、7月くらいからは既存店売上高の伸びが止まり、11月辺りから一気に落ち込み始めています。

──他のSM企業さんも同じような状況にあります。

葛見 ええ。全国的に一品単価が下がっていることが要因ですが、これは仕方がないことだと思っています。消費者の価格コンシャスが強まったことに加え、それに対して小売各社が採った戦略がプライベートブランド(PB)の強化だったわけですから、さらに単価下落が助長されたのです。

 その後も価格競争は厳しさを増しており、ナショナルブランド(NB)も含めた苛烈なものになっています。一方で、お客さまの生活防衛意識は高まったまま。将来に対する不安があるため、当分、消費マインドは好転しない、と見ています。したがって、今繰り広げられている価格競争は残念ながらまだまだ続くと思います。小売各社の利益を間違いなく削ぎ落としているのですが、誰かが「参った!」と言うまで続くのではないでしょうか。

──この厳しい状況で営業利益を改善するには、究極的には粗利益率を上げるか、売上高販管費率を下げるかのいずれかになります。ウオロクはどちらを選びますか?

葛見 すべての商品を安く販売するわけではありませんから、まずは価格で売る商品とそうではない商品をしっかり分けて考える必要があります。価格で戦う商品は、しっかりと低価格を打ち出して、競合他社さんに勝つ必要があります。価格で売る商品は、売上構成比が高いため、その粗利額減少分を売上の伸びですべてカバーするのは難しいですが、まずは、それをできる限り行う必要があります。

 そして一般的には、粗利益額が減った分の経費額を削減して、なんとか営業利益額と経常利益額を確保しようと多くの企業は考えます。