【勤続38年で退職金2000万円受け取った人の手取り額は2000万円】
 1)退職所得控除:40万円×20年+70万円×18年=2060万円
 2)2000万円-2060万円=▲60万円
 3)退職金は退職所得控除の範囲内なので、税金はかからず、手取りは2000万円

 【勤続20年で退職金1000万円を受け取った人の手取り額は985万円】
 1)退職所得控除:40万円×20年=800万円
 2)(1000万円-800万円)×1/2=100万円
 3)所得税:5万円、住民税:10万円
 4)退職金の手取り:1000万円-(5万円+10万円)=985万円

 (※計算過程に復興増税は考慮せず)

 退職金の税制は、かなり有利であることがわかる。しかも「分離課税(退職金だけ単独で税金の計算をする)」なので、退職金を受け取った年の給与収入の税率が高くなる心配もない。

 また、退職金を年金受け取りにした場合、一時金と同様にみなし経費を差し引くことができる。それが「公的年金等控除」だ。

 たとえば、厚生年金と退職金の年金受取の合計額が年300万円とすると、300万円すべてに課税されるわけでない。300万円の収入だとみなし経費の公的年金等控除額は120万円なので、300万円-120万円=180万円が雑所得として課税される(65歳以上のケース)。

「退職所得控除」を利用する場合、
退職金と個人型DCは“合算して課税”になる

 このように退職金税制は、税制のなかでは珍しく(?)納税者に優しいものであるが、個人型DCに転用するのは必ずしも“いいこと”ばかりとはいえない。注意点を知っておこう。

「個人型DC」のほかに、勤務先から退職一時金があると合算されて税金を計算するため、所得税率が高くなるケースがある。退職所得の税金を計算するうえでのみなし経費となる「退職所得控除」の年数は、複数の退職金それぞれで使えるわけではない。