商談や打ち合わせ、インタビューなど「本番」が終わったら、コミュニケーションは一応、そこでひと区切りです。しかし、「アクティブ リスニング」の実践はまだ続きます。「フォロー」のステップに入るのです。

相手に連絡するきっかけのため、自分に宿題を課す

 私が10年以上にわたるTVキャスターとしての仕事を通してつくり上げたコミュニケーション・メソッドが「アクティブ リスニング」です。
「アクティブ リスニング」には、

準備→本番(「傾聴」と「問答」)→フォロー

という3ステップにそって48のスキルがあります。

 中心になるのはもちろん、相手と会って話をする「本番」です。
 しかし、その後、フォローをすぐ行わないと、せっかく「本番」で噛み合ったコミュニケーションの広がりや発展が期待できません。
 ほんの小さなことでいいので、フォローをすぐ行うことが、「アクティブ リスニング」の効果をより大きなものにします。

 例えば、エレベーターや玄関まで相手をお見送りしたり、あるいは自分が相手先から退出する短い間にも、関係を深める機会がたくさんあります。緊張感も解けているので、一歩踏み込むチャンスです。
 私はよく本番での会話を踏まえ、

「もう少しこの点について考えてみます」
「これを調べてみます」

というふうに宿題を自分でつくり、相手に伝えるようにしていました。そして、しばらくしてからその宿題を提出するという形でご連絡を差し上げるのです。

 テーマはなんでもいいと思います。相手との話の中で感心した点などについて簡単なレポートを作成するとか、こちらが紹介して相手が興味を示した話題について参考資料を送るのでもいいでしょう。

 大事なのは、相手に何かを依頼するのではなく、こちらが時間と労力を使う「宿題」という形をとることです。

 相手としても「そこまでやってくれるのか」ということで印象に残り、自然な形で関係が続いていくはずです。