ぜひ煮魚を食べよう。煮汁を肴に酒も飲める旨さ!

 多け乃食堂の壁にかかるメニューを眺めていると、魚は種類によって調理法が違うことがわかってくる。たとえば、まぐろ、ひらめ、石鯛、いわしは刺身で食べた方がいい。アジは刺身にするかたたきかフライだろう。そして、豆アジは南蛮漬けかから揚げだ。穴子は白焼きか天ぷら。さんま、さば、かますは塩焼き。きんき、のどぐろ、かれい、めばるは煮魚に合う。

 このなかで、多け乃食堂の看板メニューとも言えるのが煮魚だ。お金のある人はきんき、のどぐろを食べればいいし、そうではない人は、かれい、めばる、もしくはアラ煮を取ればいい。

「うちの煮魚の煮汁は継ぎ足し、継ぎ足し、使っているものです。昭和15年からの煮汁とは言いませんが、相当、昔からの煮汁です。煮汁は醤油、酒、砂糖だけで、みりんは入れていません。色は真黒だけれど、砂糖がカラメル状になっているだけで、しょっぱいわけではない。この煮汁が、うちの煮魚をおいしいくしています」

 さばやアジを煮たりしないのは、青魚のくさみで煮汁の味が変わってしまうからだ。

「煮魚が好きな人がお客さんにもいますよ。ご飯をくれと言って、煮汁をかけて食べる人もいれば、熱湯を注いでくれと言って、煮汁のスープを吸いながら、酒を飲む客もいる。いや、煮魚のおいしい食べ方はお客さんの方がよく知っています」

 多け乃食堂へ行くのだったら、煮魚の煮汁だけは一滴残らず、すすり上げることを忘れないようにしたい。


「多け乃食堂」

◆住所
東京都中央区築地6-21-2
※東京メトロ日比谷線で築地下車、徒歩8分
◆電話
03-3541-8698
◆営業時間
11:00~21:00(土曜は~20:00)
日祝休み