「カーボンフットプリント」と呼ばれる環境関連の表示制度が今秋にも日本でスタートする。これは、商品やサービスについて、原材料調達から生産、使用、廃棄までのライフサイクル全般で排出される温室効果ガスを二酸化炭素(CO2)量に換算し、「CO2100グラム」のように数値で表示するものだ。経済産業省の試行事業だが、国際基準策定議論で日本に有利な基準づくりをリードしたいとの思惑もあり、普及に必死になっている。

 カーボンフットプリント制度は、商品種別ごとに温室効果ガスの排出量の算定基準を策定し、どの企業が表示する場合も同じ算定基準を利用する。これまで日本では企業独自の基準が乱立していたが、これによって比較が容易になる。

 消費者はより環境負荷が少ない商品を簡単に選択できるようになるため、ありがたい制度といえそうだ。現在、洗剤、精米、清涼飲料など39種類の商品の算定基準を策定中で、早ければこの秋にもカーボンフットプリントマークの入った商品が登場しそうだ。

 ただ今回の表示制度は、あくまで暫定的なもの。じつは国際標準化機構(ISO)による国際基準が2011年にも発効されることが決まっており、その話し合いもすでに始まっている。日本の表示制度もゆくゆくはISOに一本化される可能性が高い。

 国際基準の制定では、欧米主導で規準が制定されて日本は煮え湯を飲まされることが多かった。実際、カーボンフットプリントでは英国が先行しており、ドイツ、フランス、韓国もパイロットプロジェクトを実施して基準策定議論での地位向上を狙っている。それだけに日本も、今回の試行導入でデータを蓄積し、日本にとって有利な基準の実現に備える必要があるだろう。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 野口達也)

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