ビニール袋いっぱいのクスリ。
果たしてその効能は?
では、病院のクスリはどうでしょうか。
病院で処方される風邪薬は、市販品と異なり、1つのクスリに1つの作用しかありません。そのため病院では、総合感冒薬に含まれる成分と同じ数だけクスリが処方されることになります。
加えて病院では、抗生物質がいっしょに処方されることがしばしばです。このクスリは細菌を殺す強い作用を持っていますが、すでに述べたように風邪はウイルスで起こるものですから、細菌にしか効かないクスリでは意味がありません。
それにもかかわらず医師が処方するのは、細菌感染による肺炎を考えてのことです。
ただし風邪にかかった人が肺炎になる割合はきわめて低く、しかも実際に起こっているかどうかは胸のレントゲン撮影やCT検査を行わなければわかりません。
これらの検査を行わずに、簡単な診察だけで抗生物質が処方されたとすれば、それは、あとで患者さんに訴えられたりしないようにするためです。
結果的に、病院から帰るときには、ビニール袋いっぱいのクスリを抱えていることになります。
単なる風邪にもかかわらず、大量のクスリを処方するような医師は、ほかの病気でも同じことをしているのではないでしょうか。
私はたとえ風邪をひいても市販薬、処方薬ともにクスリは一切飲みません。栄養と水分を十分に摂り、ゆっくり体を休めることにしています。
結果的にそのほうが、長期間グズグズと風邪を長引かせることもないので、仕事への影響も最小限にとどめることができるのです。
(本連載は、『「先生が患者ならどうします?」医師が自分のために選ぶクスリ・治療法』に、一部加筆したものです)