「認知症カフェ」を誰が設置し、
運営費をどうまかなうか

 社会福祉法人や医療法人の中にも、認知症への理解が進み、利用者本位を打ち出すところでは、認知症利用者の家族団体の結成を手助けして、カフェへと繋げようとするケースも見られる。

 行政の支援を当てにしないで民間事業者が独自に認知症カフェを開設する動きも高まっている。例えば、東京都江東区北砂の「オレンジカフェ・えんむすび」。

「オレンジカフェ・えんむすび」で行われている折り紙教室

 7つのデイサービスを同区内で運営している有限会社「すこやか」が昨年6月、本社とデイサービスのある5階建て建物の1階に開いた。参加者は「だれでも無料で」と開放的だ。隣には足湯も作って利用者を待つ。日曜を除く毎日10時から15時まで開催。

 絵手紙教室を始め、歌声喫茶、折り紙教室、お菓子作り、おにぎりを食べる会など様々なイベントを企画している。時には看護師を招いての健康相談も催す。

「オレンジカフェ・えんむすび」の「おにぎりを食べる会」

 介護事業者だけに、利用者を観察する力がある。「介護保険が必要なのにまだ利用していない人を地域包括支援センターにつなげることもあった」。

「新オレンジプラン」をこの1月に発表した国は、その中で認知症ケアの設置推進を掲げている。「認知症に人やその家族が、地域の人や専門家と相互に情報を共有し、お互いを理解し合う認知症カフェ等の設置を推進」と書かれている。

 だが、問題は誰が設置し、その運営費はどのようにまかなうかである。介護保険制度とは別に打ち出したのがオレンジプランだ。介護保険の報酬は全くない。個別の推進事業として予算は計上されているが、認知症カフェに特化した事業はない。自治体任せが実態だ。東京都や宇治市のように積極的な自治体は数少ない。

 一方、要支援者の介護保険外しとして自治体に課せられた総合事業との関連も不透明だ。初期の認知症高齢者は、判定会議で要支援と判断されがちである。その要支援者へのサービス提供は市町村自治体が担う。

 要支援者サービスとして、認知症ケアに的を絞ったサービスを取り入れる自治体は聞いていない。草の根のボランティア団体やNPOに認知症カフェ作りを委ねてはなるまい。

 介護報酬の豊かな蓄積がある特養を運営する社会福祉法人は、こうした収支が取り難い分野にこそ一斉に参入すべきだろう。納税の義務を免除されていることへの世間の目は厳しい。厚労省の審議会では、社福法人の地域事業への参画を要請されている折でもある。