(1)「ベンチマーク」をし続ける
社内でアイデアを考え、目標を設定して取り組む、ということは多くの企業がやっていると思いますが、これでは成長に限界があります。重要なのは「ベンチマーク」という発想で、競合他社や別の業種などにも目を向ける必要があるのです。
例えば最近、24時間営業のスポーツジムが増えているのですが、これなども「24時間営業」という考え方はコンビニをはじめ昔からあったわけです。それをスポーツジムで実現したところに先見性や独自性があり、市場から受け入れられているのです。
競合他社から丸ごと真似をするのは「パクリ」と言われますが、業界をずらすことで思わぬアイデアに繋がることは往々にしてあります。成功している企業はもれなく他業界をベンチマークしており、何かしらのヒントを得ていると言えるでしょう。
トヨタはもともと米国のスーパーから在庫管理の方法を学んで独自の「カンバン方式」にしていきました。そして、Dellコンピュータは、そのトヨタのカンバン方式からヒントを得て、PCをカスタマイズして販売する直販モデルを業界で初めて取り入れ、劇的に売り上げを伸ばしたと言われています。
このように、視野を広げて視点をずらすことで様々な対象物をベンチマークできることに気がつけば、ぐっと成功が近づいてくるはずです。
(2)縦割りではない「多能工」という動き方
会社の中で自分の役割を全うすることは大事ですが、「自分に与えられた仕事だけができる」ということではダメだと思います。トヨタには「多能工でなければ」という言葉があります。多能工は「多くの能力を持つ工員」、つまりマルチタスクな人と言うことです。
九州にあるトヨタの工場へ視察に行った際、生産ラインで工場長に聞いたのですが、生産ラインでは作業担当者が固定されていないとのことでした。例えば、「ハンドル取り付け担当」「ガラス取り付け担当」などと常に担当者が決まっているわけではなく、誰がどれをやってもできる状態にしているのだそうです。
これがつまり「多能工」ということなのですが、そうすることで突発的に欠員が出るなどしても誰かがカバーでき、リスクヘッジになるというメリットがあります。誰かが休んでしまうと工場のラインが止まってしまうようでは話になりませんので当然でしょう。
また、個々のスタッフが様々な業務を担当することにより「あれ、この作業はもっとこうしたほうが効率は良いのでは?」と視野が広がることにもつながっていくのです。実際、生産ラインの担当者からは毎日のようにライン改善のアイデアが出てくるのだそうです。