売上27兆円を超え、3年連続世界一を更新するトヨタ自動車。世界一の企業は同時に、世界一シビアな成果が求められる現場でもある。どの企業でも参考になる、トヨタグループ全体で徹底される「成果」のとらえ方を公開。
世界一シビアな現場での「成果」とは?
その昔、機織りを自動で行う「自動織機」という機械を作る会社がありました。その会社で、社長の息子が昭和8年に「自動車部」という部署を立ち上げます。まだ日本では製造している会社がなかった自動車を国産で作り出そうという事業構想でした。そして、これが現在のトヨタ自動車の始まりだったのです。
そんなトヨタ自動車のグループ会社(神奈川トヨタ自動車)で働いていた私は、仕事における「成果」というものを考えさせられることが多々ありました。所属している間は気が付かないのですが、後に様々な企業に転職をする度に「トヨタにおける成果のとらえ方」について改めて気づかされたのです。私が働いていたのはトヨタグループですが、私の印象では、トヨタの考え方はグループ全体で徹底されていると感じました。
例えば、一般的な企業では“新人が頑張っていると褒められる”というシーンを見かけます。汗をかいていると上司が喜ぶ。夜遅くまで残ってやっていると感心される。ミスなく仕事ができると褒められる。これらはすべて、トヨタグループでは逆でした。努力のとらえ方、時間のとらえ方、ミスのとらえ方が違うのです。
「成果」と言われるものが、一般的な企業とは全然違うものと現場では認識されていました。当時は当たり前のようにその環境で成長していきましたが、他の企業に移ってから「あそこは、成果に対して世界一シビアな現場だったのでは」と感じたほどです。今回はそんな「成果」についてよく聞かれた「口グセ」をいくつかご紹介していきたいと思います。