この二年、
「天然ガス+石炭火力」で78.5%供給の事実

 では、この二年間、誰が、その電力を供給してくれたのだろうか?

  2014年度の「電力会社の電力」は、この表の通り、ほとんどが天然ガスと石炭火力の合計で8割近い、78.5%が供給されてきた。ホルムズ海峡に関わる「石油」火力は、東日本大震災後にピンチヒッターとして使われただけなので、2014年度はその分の多くをさらにガスが代替して9.3%に下がり、ガスの比率がますます高まっている。

 一番下にある「新エネルギー3.2%」がいわゆる自然エネルギーであり、「原子力0%」は、「必要もないのに運転されていた」福井県の大飯《おおい》原発が2013年9月15日に運転を停止してから、この通り「原発ゼロ」の静かな時代を迎えたのだ。

 主力のガス火力は、大都市の台所で使われている安全なメタンガスを、きわめて効率よく(原発の二倍のエネルギー効率で)燃焼する「ガスコンバインドサイクル発電法」を柱にして、安価に生み出している。

 これで明らかな通り、原発はまったく不要であり、自然エネルギーも、当面は不要である。ちょうど先月、のどかな農村の、しかも登山客などが集まる観光地帯でタクシーに乗ったところ、運転手さんが、「見てご覧なさい。どこにでも太陽光パネルを敷きつめて、ひどいもんだね……」とあきれていた。

 地元では、農地に敷きつめられる太陽光パネルが、景観を破壊してひどく不評である。自然エネルギーの普及は、長期的に少しずつ、自然界を破壊しない範囲でゆっくり進めなければならない。金が入るからといって、あわててはいけない。

 主力となった天然ガスは、世界的な見込み埋蔵量が、年々増加して、当面ほぼ無尽蔵だというのが、ガス業界の予測である。
 イランからのガス輸入もますます有望になってきた。石油とガスを世界中に売りたいイランにとって、ホルムズ海峡を封鎖することなど、あり得ないのだ。

 一体、あり得ない中東のエネルギー危機を持ち出して危機を煽り、日本の戦争参加を押し売りする安倍晋三の頭の中は、どうなっているのだ。