冒頭でお話ししたように、面接で完璧にお辞儀をしたり、きちんとした立ち居振る舞いをするにはどうすべきかは、自分自身でインターネット検索をしてみたり、動画を使って実際に練習することで習得が可能です。ですが、目を合わせて話すなど、コミュニケーションそのものについて至らない点は、指摘する相手がいなければ分からない場合が多々あります。対人コミュニケーションのあるべき姿が、身についていない若者が多いのは残念に思います。

 私が就職支援をする際は就職志望者の方に、コンビニエンスストアでも会計をしておつりを受け取る際に店員さんの目を見ることや、飲食店から出るときは「ごちそうさまでした」の一言を店員さんに伝えることを勧めています。一見、就職支援とは全く関係ないことだと思われがちですが、実はこれこそ対人コミュニケーションのスキルを上げるために大切なトレーニングだと考えているからです。

 もちろんこういった基本的なことは、学校の部活動における先輩からの注意や、家族や年上からの指摘などで気づくべきことだと思います。ですが、そういった経験がなく、知らないまま過ごしてきてしまった人は、社会でいろいろな人と接するハードルが高くなってしまう前に、普段の生活からコミュニケーションスキルを上げることが重要です。

保護者や周りの大人が
若者に気づかせてあげよう

 大手企業や人気企業には大勢の応募者が集まります。もちろん人気企業であるほど、大半の方はエントリーやエントリーシートの時点で落とされてしまいます。そういった関門をくぐり抜け、いざグループディスカッションや面接へ進んだ際に、目を合わせないなどのコミュニケーションの違和感で落とされてしまうのは非常にもったいないことです。しかし、そうした点について、高校や大学などの教育の場ではあまり深く突っ込まないという話も聞きます。大学などで教鞭をとる教授のなかには「社会のことは社会に出てから学べばいい」というスタンスで、違和感を持っても注意しない人もいるといいます。

 ですが、コミュニケーションはインターネットで学ぶより、目の前に方に学ぶ方が多いはずです。相手に意識を向けた時点で相手を受け入れる体制が整います。自分ではない方の意見に対して考えたり、判断したり、検討したり、拒否したり。そういった事一つひとつがその人自身の成長に必要な栄養になっていくはずだと信じています。

 面接での違和感。それは、あまりにも当たり前のことができない場合に生じるものであり、決して解決するのは難しくないと思います。そうした当たり前のことができるようになるきっかけを与えられるのは、保護者であり就職支援者であり、周りにいる社会人経験者の務めなのではないでしょうか。

 そして、もちろん周りにいる社会人経験者こそが、当たり前の事を大切にするコミュニケーションの見本になっていくべきではないかと、改めて思います。

(キャリアプロデューサー 櫻井樹吏)