あるとき、退職の挨拶に来た編集者が「“毎月40万円もらえる運用商品”を勧められているので買おうかと思っている。貯金はあるが、退職したら給料がなくなるのが不安。今ある貯金をその人に預けて毎月40万円もらえるなら、自分にぴったりではないか」と言う。

 銀行や証券会社で売っていない、紹介された人だけが買えるファンドだという。怪しい、怪しすぎる商品だ。でも、コンサルじゃないので深く突っ込みたくない。曖昧な笑顔で仕事の話に戻そうとしたが、うまくいかない。どうも私の意見を聞きたいらしい。仕方ないので「いくら投資して、月に40万円もらえるというのですか? 40万円は運用の結果によって変動するのですか?」と質問してみた。

「3000万円預けて、月40万円は決まってもらえる」と言う。ということは、年利回りで16%、しかも確定利回りで。本人は預金感覚になっているのが怖い。

 次に「手数料はどのくらいですか? 何に投資をするのでしょう。いつでも換金できますか? それとも一定期間は解約できないなど制限はありますか?」と立て続けに聞いてみた。

 するとバッグから書類を取り出し「手数料や投資先は開示しないと書いてある。解約については、説明を聞きに行ったときにいつでもできると言っていた」とのこと。

 意を決して(コンサルティングじゃないのに水を差すのは勇気が要るものだ)、「やめたほうがいいと思いますよ」ときっぱり言った。理由を聞きたいということなので、利回り16%を将来にわたって約束する商品はあり得ないし、情報開示が少なすぎる、完全お任せにして毎月確実に40万円入ってくるなんて都合の良い投資が、安全なものとは思えないと伝えた。

 その後、彼女は退職したので「毎月40万円もらえる」ファンドを買ったのかどうかはわからない。

女性は「毎月お金が受け取れる」
「元本保証」のフレーズに弱い

 ここまで読んで、多少でも投資の知識や経験がある人なら「怪しいことにどうして気がつかないのかなぁ」と思うことだろう。こういう商品を信じてしまうのは、投資経験のない人に多い。チェックすべきポイントを知らないので、自分にとって「良い情報(この場合、月40万円)」だけが頭に残ってしまうのだ。