なぜいま自動車産業界でイスラエル企業が注目されているのか?イスラエルと日本の架け橋である法律事務所、Weiss Porat &Coの弁護士、Zeev Weiss氏(左)と詩雷プリオン氏 Photo by Kenji Momota

 そうしたなか、「医薬品や医療関連の分野をドライバーとして、日本とイスラエルの企業間活動が活性化している」と、法律事務所Weiss,Porat&Coのパートナーで、日本企業と25年間に渡る実務経験がある弁護士のZeev Weiss氏は語る。

 また当然、コネクテッドカーやテレマティクスの分野でも今後、日系企業とイスラエルのスタートアップとの連携が強まる可能性がある。

なぜいま自動車産業界でイスラエル企業が注目されているのか?SAMURAI HOUSEに参加する様々な人種の人々。写真中央が代表の、榊原健太郎氏 Photo by Kenji Momota

・こうした動きとはまったく逆の考え方として、イスラエルを拠点にスタートアップを育成しようとする日系企業がある。その活動の拠点が「SAMURAI HOUSE (サムライハウス)」だ。サムライ・インキュベート社の創業者でCEOの榊原健太郎氏は「世界市場における投資や新規事業開発の実情を精査した結果、イスラエル進出を決めた。アメリカのシリコンバレーも当然候補だったが、(事業に対する憧れのような)イメージ中心になりやすい。一方、イスラエルではスタートアップに対する人と人とのつながりが強く、実質的に事業の実現は速いはずだ」と指摘する。

 SAMURAI HOUSEは2014年に立ち上がったばかりだが、すでに様々な国の出身者が設立した十数社が入居。そのうち日本人が創業したケースは、スタートアップと投資家のマッチングを行うaniwo社(CEO:寺田彼日氏)と、仮想通貨の開発を行うZEROBILLBANK社(CEO:堀口純一氏)の2社だ。榊原氏、寺田氏、そして堀口氏と意見交換したが、閉塞感がある日本を飛び出し、ビジネスチャンスに溢れたイスラエルの地で「可能性があるのだから、まずはやってみる!」というチャレンジ精神を共有していることが、彼らの言葉から強く伝わってきた。

 以上、筆者としてのイスラエル初取材を振り返った。

 イスラエルと日本との関係については、日本とアラブ諸国との石油・天然ガス等の資源供給に関する連携、またアメリカとイスラエルの政治的な戦略のなかでの日本の立場等、一筋縄ではいかない周辺の課題が数多くあることも事実だ。

 筆者としては、あくまでも日本とイスラエル間での経済分野での動向について着目し、今後も、イスラエルで巣立つ可能性が高い自動車IT関連系のスタートアップを中心に、その成長過程をこの目でしっかりと確かめていきたいと思う。

 なお、今回の取材で、若きチャレンジャー、イスラエル マーケティングアナリスト兼ジャパン21社 イスラエルカントリーマネージャーの高木皓太氏にサイドサポートしていただいたことに深く感謝する。