『週刊ダイヤモンド』2015年8月8・15日合併号の第一特集は、超特大106ページの「夏休みだヨ!全員集合 親・子・孫3世代のお金の話」。相続、贈与、教育、不動産、保険、年金、投資と3世代が集うこの時期こそ話したい、お金の話題とノウハウが満載。「せっかく家族があつまるのにお金の話なんて…」と先延ばしにしてはいけない理由も特集で紹介しています。週刊ダイヤモンドが「夏こそ家族でお金の話」という新習慣を提案します!!

お金をめぐる家族のトラブルの代表例が相続と贈与だ。実は、「うちの一族は財産もないし大丈夫」と高をくくっていられない状況がある。
東京都内で開業するある税理士は今でも忘れられない光景がある。
税理士の古くからの顧客であった建築会社の経営者が死去し、その日は親族の集まる会だった。
亡くなった経営者の生前の意向は、会社経営を引き継いだ長男に財産も引き継がせるというものだったが遺言書はなかった。すると、「子供が私立の中学に入学するからお金が必要」と、次男の妻が取り分を主張し始めたのだ。突然の横やりに、議論は紛糾。言い争いは過熱し、妻同士の殴り合いから、さらには蹴り合いに発展した。
その後、泥沼の訴訟となり、「兄弟はその後、二度と口を利かなくなった」(税理士)という。
お金のない家ほどもめる!?
本当に怖い相続と贈与
近年、税制度の変更や価値観の変化により、相続や贈与でトラブルになるケースが増えている。そして、そのことに無関心を決め込むことはできない。
なぜなら、「お金があるから相続でもめる」と思い込むのは間違いだからだ。2013年版司法統計によると遺産で争った裁判で、遺産額が「5億円以上」のケースはわずか0.5%で、「5億円以下」は6.2%、「1億円以下」は12%と少数派なのに対し、「5000万円以下」が42.7%、「1000万円以下」が32.3%と、数千万円以下の規模で訴訟となった例が75%になるのだ。
これは土地や建物も含んでの数字だから、せいぜい財産は一軒家といった一般の人たちが争っている姿が浮かんでくる。