「あれも大事、これも大事」と悩むのではなく、「何が本質なのか?」を考え抜く。そして、本当に大切な1%に100%集中する。シンプルに考えなければ、何も成し遂げることはできない――。LINE(株)CEO退任後、ゼロから新事業「C CHANNEL」を立ち上げた森川亮氏は、何を考え、何をしてきたのか?本連載では、待望の初著作『シンプルに考える』(ダイヤモンド社)から、森川氏の仕事術のエッセンスをご紹介します。
それは、本当の優しさか?
僕は、経営はシンプルだと考えています。
社長が、ある分野において自分より強い人を連れてくる。そして、ある分野の仕事をお願いする。それで、うまくいかなければ「人」を変える。うまくいっているときは変えない。プロジェクトの存廃も同じ。結果が出れば人数を増やすし、結果が出なければ減らす。場合によっては解散する。それを貫徹する以外にない、と思うのです。
「会社がうまくいかない……」
ときどき、そんな声を耳にします。しかし、僕は、会社がうまくいかない理由ははっきりしていると思います。なぜなら、結果が出ていないプロジェクトは、数字が示しているからです。
サッカーと同じです。連敗が続いているサッカー・チームがあるとします。敗因を分析すれば、点が入らないから勝てないのか、点を取られているから勝てないのかがわかります。点は取っているけれど、それ以上に点を取られているのならば、ディフェンスに問題があるのだから、ディフェンダーを交代させなければならない。逆にディフェンスはよく守っているのに、点が入らないのであれば、フォワードを交代させなければならない。それ以外に、勝てるチームにする方法があるでしょうか?
あとは、やるかやらないか。それだけです。
ところが、これができない。
なぜか? 「情」が邪魔をするからです。その人を降格したら可哀想だ。あのプロジェクトを中止するのは、メンバーに酷だ。それで、変えるべきものを変えずに、ずるずると状況を悪化させてしまうのです。
しかし、これが本当の優しさでしょうか?