また、生産面では世界最大の生産国であるコートジボワールでエボラ出血熱が発生したり、エルニーニョの影響が拡大するとの懸念が強まるなど、生産見通しが弱気に傾いたことも価格上昇を助長した。ただし価格上昇によるレーショニング(価格上昇によって需要が減少すること)、中国経済の失速懸念の強まりが影響し、足元の価格はガソリン同様下落している。

 綿花は、春先の悪天候によって米国の作付けがこの10年で最も遅い進捗率となったことが需給ひっ迫懸念を強め価格が上昇していたが、やはり足元では、作柄状況の改善や、最大輸入国である中国の景気拡大ペースの鈍化に伴う輸入の減少観測が価格を下押ししている。

 牛乳は米国の新興国向けの乳製品輸出需要の増加と、2014年に主要生産地区であるカリフォルニア州で発生した大干ばつの影響で、指標となるシカゴ牛乳先物価格(クラスIII)が史上最高値となっていたが、穀物価格の下落によるコスト要因と中国を初めとする新興国の景気拡大ペース鈍化の影響で昨年末にかけて大幅に下落、その反動による。

 シカゴもみ米価格の上昇は、エルニーニョの影響でアジア全域が深刻な干ばつに見舞われ、世界最大のタイを含む東南アジア諸国の生産が落ち込むと予想されており、世界需給のひっ迫懸念が強まっていることが材料視されたものだ。

原料価格から最終製品価格への
波及にはタイムラグがある

 ではこうした商品価格の変動は、私たちの生活にどのような影響を及ぼすのだろうか。

 個人消費は日本のGDPの約6割を占める重要なセクターである。ここまで見た通り、商品価格は一部を除き下落傾向にある。これは家計にとっては好材料のはずだが、先日発表された4~6月期GDPがマイナス成長となった主因の1つは、消費の低迷だった。

 実は、上述の商品価格の変動は、私たちが日々、スーパーやコンビニで購入している食品・食料品の価格や、電力・ガス、ガソリン価格を直ちに変動させるものではない。生産地で船積みされてから我々のところまで運ばれ、最終製品に加工されるまでの時間差や、最終製品に加工されるまでの価値の付加によって、原料価格に対する最終価格の弾力性が低い(原料価格の変化に対する最終価格の変化が小さい)、といったことが影響するためだ。