最近、巷でよく見かける小さな乗り物をあげてみよう。

 世界各地の空港内警察が使っている、一人立ち乗り電動車「セグウェイ」。

 ヤマハ「パッソル」、同「パッソーラ」など往年の原付2輪車ブームを彷彿させるほど、急速に日本国内販売を伸ばしている、電動アシスト自転車のヤマハ「PAS」。

 道路交通法上の免許がいらないことで、高齢者の日頃の足として普及が進んでいる電動四輪車、スズキ「セニアカー」(本来は『シニア』カーだが、スズキ上層部が『シ=死』のイメージを懸念して命名)。

 こうした各種の小型電動移動体は、世界市場ではLEV(Light Electric Vehicle)と呼ばれている。ハイブリッド車や電気自動車など、本格的な自動車の電動化が叫ばれている昨今、「LEVは大きなビジネスチャンスの芽」として海外(日本の2輪車業界の一部を含む)で関心が高まっている。だが、LEVは商標ではないし、法整備が各国でバラバラであるなど、「LEVの定義」は、事実上存在していないのが実情だ。

「LEVを国策にする!」と
意気込んでいる国

 そうしたなか、「LEVを国策にする!」と意気込んでいる国がある。日本の隣国・台湾である。

日本の電気自動車に強敵現る!<br />台湾が描く「電動移動体」国家戦略の凄み
台湾政府が推進する「eバイク」「eスクーター」。2009年春から各社が新型車を市場投入する予定。

 台北市街、朝晩のラッシュアワー。路上には排気量125ccを中心とする小型オートバイが溢れかえっている。二人乗りしているバイクも数多い。総人口2300万人に対して、小型オートバイの保有台数は1200万台に及び、国民2人に約1台を保有している計算になる。