「未公開株の国会議員枠で、2倍になるのは確実か?」
何かと物議を醸す発言で一躍有名になった武藤貴也議員だが、今は未公開株詐欺疑惑でもう一段有名になりつつある(これが出るころにはさらに違う疑惑で有名になってしまったが)。
この問題で即自民党を離党した武藤議員。世界から投資詐欺に騙される人の撲滅を志す本コラムとしては、突っ込みどころ満載の話であった。
武藤議員が「最低2倍にはなる未公開株の国会議員枠」を語り資金を集め、しかもそれを返済していない、と報道されているが、「党に迷惑がかかる」と即離党した経緯も怪しさ全開ではないか。その後の未成年買春報道で本件が忘れ去られがちだが、これが本当なら法的には(倫理的には別として)よっぽど重大な問題をはらんでいる。そこで今回のコラムでは、「国会議員による未公開株枠」の問題について皆様と共に議論したいと思う。
未公開株の国会議員枠が存在すれば「大犯罪」
私自身も長らく未公開企業への投資業務に携わってきたが、そもそもの話、まっとうな未公開株に関して、議員枠など存在しない。仮に存在したとしたらこれは立派な賄賂であり、これが嘘だとしたら詐欺である。公開前の株主に議員がいるだけで、まともな会社のコンプライアンスチェックを通過しないだろう。
もちろん名前を隠して何かの投資会社やトラストの後ろで投資して隠れ蓑を駆使している可能性は容易に想像できる。しかし仮に国会議員が株主構成に名を連ねていたら、いざ上場審査の時に、証券会社や上場先の証券取引所に「我が社の賄賂を疑ってください」とお願いしているようなものである。
金融当局の規制に抵触している可能性も高い。未公開株のような金融商品への投資アドバイスも資金募集も当局に厳しく監視されておりライセンスが必要であるが、武藤議員がその資格を有しているとは思えない。
ありったけの声を振り絞って断言するが、そもそも通常、個人に絶対に値上がりする未公開株の投資機会など絶対に回ってこない。未公開株は上場株と異なり開示されている情報も極端に少ないだけに、通常極めてリスクの高い投資である。
プロの投資家とみなされる適格機関投資家や、上場前に戦略的シナジーがあってマーケティングに仕えるような戦略的投資家への配分なら理解できるが、まったくド素人の一般の個人投資家に、「上場寸前の会社にお金を入れてクイックに利益確定」などという投資機会が巡ってくるわけがないのである。