彼の3歳までの経験をもとに、私は懸命に、少しでもできることから教え込みました。

 いまは、不随意性筋収縮(不随意かつ発作的に筋肉が収縮すること)の発作で施設に入っていますが、3年前に会ったときも私のことはよく覚えていてくれて、うれしい笑顔で挨拶してくれました。

 ケンちゃんが現在まで生きているのは、脳の発達のおかげです。

 なぜかと言えば、もっと脳の状態が悪かったら、そんな年齢まで生きられないからです。

 生きているということは、なにかを教えられるということです。

「教え方がわからない」ではなく、この子には生きていくために、他の子どもと同じように目も鼻も口もついています。

 0歳の子が1ヵ月で覚えたものを、こういう子は1年経ってもなかなか覚えられないという差があるだけです。
 ほんとうに少しずつですが、覚えていきます。
 なにも覚えられなかったら、死んでいるはずです。
 通常なら、50歳を超えて生きられないのです。

 50歳を超えて生きられるということは、50歳以上の肉体を維持するだけの力が、脳と体にあるということなのです。
 そうでなければ、死んでしまうのですから。

このような子どもたちに対し、教育者や医者はどのような手助けができるのでしょうか?

 これは私の宿題です。