【企業特集】伊藤忠商事<br /> 持ち株会社の経営に直接関与<br /> 中国で儲ける“秘策”の行方

  魏が董事長(会長)を務める頂新の中核企業「康師傅」は、ファミリーマートとの合弁事業を手がけるほか、年間130億食の即席めんを売り上げる業界のリーディングカンパニーだ。

 日本の年間消費量が50億食であることを考えると、いかに巨大な売り上げであるかが理解できるだろう。日本全体の3倍近い量をたった1社で生産している計算だ。茶飲料、水でも中国トップシェアを誇る。

 中国の加工食品市場は、日本の5倍となる100兆円を超えた。外食や製パンなど、未発達な業界もあり、日本企業にも参入余地はある。特に、外食産業の市場規模は20兆円といわれ、年平均18%という驚異的な成長を遂げている。

 頂新は20年には、グループ全体で中国最大規模となる6000店舗の外食チェーン構築を目指しており、日本企業にとって、頂新との連携メリットは計り知れない。一方、伊藤忠の食料カンパニーは、15年度に連結純利益で400億円、その4分の1を中国で稼ぎ出す考えだ。

 伊藤忠にはここ最近、頂新との協業を聞きつけた日本企業からの打診が増え、「現場には引っ切りなしに案件が持ち込まれる」(食料カンパニー)と、うれしい悲鳴を上げている。頂新幹部も「案件が増え過ぎて対応できない」と驚きを隠さない。

 頂新は今後、食品、流通、外食という生活消費関連の3つのカテゴリーにフォーカスして事業を深掘りしていく方針だ。

 頂新の起源が台湾である点も日本企業には大きなメリットとなる。台湾は中国と共通文化を持ち、資本主義の論理も通用するため、台湾企業と組んだ日本企業は成功しやすいともいわれている。

 杉杉の思惑は頂新とは若干異なる。25日午後、浙江省寧波市──。

 「近々、ヤマダ電機を訪問したいと思っている。家電量販店など小売りチェーンにも進出するつもりです」。杉杉集団の総裁、鄭学明はそう言って笑うと、一気に青島ビールを飲み干した。

 杉杉は主力のアパレルのみならず、幅広い分野で日本企業との提携を模索。2月に発表された、伊藤忠と戸田工業による杉杉子会社のリチウムイオン電池企業への出資もその一例だ。杉杉は中国進出を表明したばかりのヤマダ電機にも連携を働きかけていくという。