お客様はアプローチ次第で富裕層にも庶民にもなる

日本人はみんな、富裕層と同じものの買い方をする傾向を持っています。それは、世界的・国家的に考えて、日本が世界の中でもトップクラスに豊かな国であり、さらには欧米や一部のアジア諸国のように、階級社会といった側面がまったくないからです。

 現在の日本の社会では経済的な格差が広がり、国民一人ひとりの所得が二極化しつつあることは確かです。

 しかし、それでもなお、時と場合により、ごく一般の人たちが「安いものよりも高いもの」を選び、「モノよりもコト」を買うのが日本国民の消費の特徴です。そして何よりも富裕層の特徴と重なる「自分らしさ」を買う消費の傾向を表すのが日本人なのです。

 同じ顧客でもアプローチの違いによって、安いものしか買わない消費をさせてしまうことも、反対に、値段の安さを基準としない購買を促すこともできるのです。つまり、どのようなアプローチをするかによって、お客様は富裕層にも庶民にもなり得るということです。それが実はお金持ちである日本人の消費を特徴づける傾向なのです。

 日本人は庶民とはいってもそれなりの資産を持っている人が多くいるので、ビジネスのアプローチとしては、まずは高く売れる可能性を求めることが道理でしょう。

 狭いアパートに住んでいても、こだわりを持って高級車を乗り回す方もいますし、着飾ることに関してはお金に糸目をつけない方も、世の中にはたくさんいます。

「安くしないと売れない」という誤った思い込みは、日本人を過小評価しているとも言えるわけです。どうかその思い込みは、ここで捨て去ってください。