いよいよ発売される『絶対儲かる「値上げ」のしくみ、教えます』連載第1回は、値上げの重要性を説きました。今回は、値下げが招くデメリットと値上げのメリットを紹介します。「頭ではわかっているが……」という方は、あとは行動だけです。「実行」に移すための指南本なので、ぜひご活用ください。

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値下げは「最悪の経営手法」

 景気が後退すると、ほぼすべての企業が下層に向けたビジネスをします。値段を安くして、モノやサービスを売ろうとしてしまうのです。大企業の動きにしたがって、中小企業までもがどんどんと、安く売るビジネスへと向かっています。

値下げをすることは、自分が手掛けるビジネス、取り扱う商品・サービスに自信がない証拠です。しかし、世の中を見渡してみると、「自分たちの商品には、自信を持っている」と言う人たちまでもが、「でも、安くしなければ売れない」と自ら安売りに走ってしまっているのです。

 本当に自信があるのならば、なぜ高く売るという選択ができないのでしょうか?

 自信がある商品やサービスを、希望する金額で買ってもらうことがなぜいけないのでしょうか?

 マジメな日本企業の多くは、本当は自社の商品に自信を持っているのにもかかわらず、どうしても景気が悪くなってくると、皆さん弱気になっていきます。

 しかし、値下げは「最悪の経営手法」であると言わざるを得ません。

 たとえば、売価100円で利益30円の商品があったとします。これを80円に値下げしたらどうなるでしょうか。原価が値下げする以前と同じであれば、利益は10円となり、一気に利益が3分の1になってしまいます。

利益が3分の1になってしまうのでは、3倍の数を売らないと、会社としては同じだけの利益を確保することができません。ということは、顧客の数も3倍に増やす必要があるわけです。

 そうなれば、それに対応する人員を増やす必要があります。顧客に対応する営業マンや販売スタッフも増やすことが必要になってきます。顧客の母数が増えれば、問い合わせやクレームの数もその分増えますから、それに対応する人手も必要です。

 さらには、集客のための宣伝も増やす必要が出てきますし、販売数が増えれば、それだけ在庫も増やさなければいけません。製造業であれば、増産のための設備投資も新たに手掛けることになるかもしれません。

 値下げをするということは、商品一つひとつの利益が減るだけでなく、そうした諸々のコスト負担が増え、会社全体の利益を圧迫することになるのです。