日本からIoTの新しい事業を起こす機運がようやく高まってきたが、多くの企業では新たなIoTビジネスモデルの創造に苦労しているようだ。
IoTは、インターネット、ソフトウェアやサービスの発想からモノを巻き込んでいく。一方、ハードウェア系の企業はまずはモノにセンサーや通信チップを埋めることから発想してしまい、そこで思考が止まってしまうようだ。
第4の経営資源である「モノ」
経営資源は人・モノ・カネ・情報の4つだとよく言われる。インターネットにより産業革新が進んだ歴史を見ると興味深い。インターネットによりまず「情報」が格段に有効に使われるようになり、ヤフーやグーグルが誕生した。次に、カネや商業がインターネットで扱われるようになり、イーベイやアマゾンが出た。
さらに、携帯・スマホの普及とそのインターネット化により「人」がネット上に集うようになり、フェースブックのようなソーシャルネットワークが爆発的に膨らんだ。
そして、これからのIoT時代ではそこに「モノ」が加わる。ここで理解すべきなのは、情報・カネ・人にモノが加わるのであって、モノからの発想ではない、ということである。
Fitbitを歩数計の会社と考えると
900億円の資金調達は理解できない
だから、IoTのベンチャー企業の創業者はネット系分野の出身の人が多い。最近のIoT分野での成功例の話題は何と言ってもFitbitだろう。株式公開で7億4000万ドル(約900億円)を資金調達した。
Fitbitが「歩数計」の会社と考えたら、この成功の理由は理解し難い。Fitbitの歩数計はあくまで情報の入り口であり、ユーザーの健康バロメーターを使って「24時間フィットネス管理サービス」という価値提供が事業の根幹だと考えるとこの会社が全く違う会社に見える。だから、歩数計そのものには当初いろいろ問題があったが、それを乗り越えて現在の市場地位を築いた。創業者のジェームズ・パークの前職は、ネット分野のトップメディアであるCNETであったのは偶然ではない。