「前頭前野」と「運動前野」が働くと、
脳が賢くなってくる!

 この結果、大きく変わる脳領域は、ヒトでよく発達している前頭前野(前頭極)と器用な運動にしてくれる運動前野でした。

 前頭前野と運動前野は、訓練すればするほどよく働くようになっています。
 これは、単に運動がうまくできるようになるだけではなく、脳が賢くなってくるのが大事な点です。
 スポーツのエリートが試合をしているのを見て(たとえば、NHKが夜中に放映しているウィンブルドンテニスの試合など)、選手が長時間動いても疲れないのは、長年練習をして、筋肉を鍛えたからだと思っていたのですが、なぜ試合途中にヘマなことをしないのだろうか、ずっと不思議でした。

 いろいろ研究した結果、それは、前頭前野が働いて、脳が賢くなっていたのです。

『赤ちゃん教育』後に
親がすべきこと

「10年ルール」(1万時間ルール)は運動だけでなく、多くの分野でも言えることですので、教育(学習)は大学で終わるのではなく、熱意のある人には、ぜひ大学院まで進み、修士、博士の学位を取られることを勧めたいと思います。

 よくアメリカでは、「大学出」より「大学院出」のほうが年収がよくなる、という宣伝文句が見られます。

 一説によると、日本で大学がつくられたのは、高野山大学が世界最初のようで、835(承和2)年に、空海が朝廷より真言宗後継者育成制度を認定されたことが始まりとされています。

 ヨーロッパでの大学の最初は、1220年にモンペリエ大学に医学校ができています。
 大学院の制度が最初にできたのは、ずっと新しく、1870年代のアメリカのジョンズ・ホプキンス大学で、比較的に新しい。そのために、世界的に大学ほど整備されていません。
 日本でも、大学院教育には公的・私的の補助が少ないことが目立ちます。
『赤ちゃん教育』を終えて、まずしなければならないのは、子の教育のための貯金ではないでしょうか。

【※注】Front.Hum.Neurosci., 06 May 2014 | doi: 10.3389/fnhum.2014.00280
“Experts bodies, experts minds: How physical and mental training shape the brain”
Debarnot U., Sperduti M., Franck Di Rienzo F., and Guillot A.