水素爆発やベント実施「前」に、
原発から大量の放射能が出ていた!

 だが、実は、そのベントの実施が開始される前に、山田地区で1時間あたり32μSvを記録していた、というのが毎日新聞の報道内容であった。

 実は、この山田地区にある農村広場は、「DAYS JAPAN」の測定者と共に、私たちが2013年7月下旬に入って、放射能を測定した場所であった。測定したところ、1時間あたり55μSvという異常な放射線量であった。事故から2年4ヵ月後でも、東京の1000倍だったのである。

 しかも、土壌の放射能濃度は1平方メートルあたり1700万ベクレルを超えていたのだ。この数字は、チェルノブイリ原発事故の汚染地帯で、最も危険な「第一区」強制避難区域に指定された数値の11倍という放射能濃度なのである。

 つまり、水素爆発やベントの実施前に、原発から大量の放射能が出ていた! ということは、原発内部の配管が破損していたという事実のほかに、原因は考えられない。

 福島第一原発の原子炉容器を設計した田中三彦さんたちがたびたび指摘してきたように、地震によって、内部がメチャクチャになっていた可能性が高いのだ。現在は、放射能濃度が高いため人間が内部に入れないので、それを確認できないだけである。

 東日本大震災を招いた「3・11東北地方太平洋沖地震」の揺れは、大津波によって、膨大な数の犠牲者を出し、福島第一原発の非常用電源をすべて奪い、全電源喪失という最悪の事態をもたらした。津波の脅威は、まことにおそろしいものであった。

 だが、原発で記録された揺れは500ガル程度であり、トテツモナイ揺れではなかったのだ。それでも、配管が破損したなら、日本全土の原発の耐震性は、まったく信用ならない、という結論になるわけである。