米連邦準備制度理事会(FRB)は、9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で、利上げを見送った。9月の利上げを予想してきた大川智宏・UBS証券エクイティ・ストラテジストは、「利上げの先送りで、金融市場の不透明感が増してきた」と指摘する。FOMC後、日経平均株価も米ニューヨークダウもじわじわ下落した。
雇用も消費も強い中、FRBが利上げを見送ったのはなぜか。原油安でインフレ率が低く抑えられていることに加えて、新興国経済、とりわけ中国経済の減速に対する懸念があったからだ。
「流れを変えたのは、8月の人民元切り下げ。中国経済は思った以上に悪い、と金融市場が不安定になった」(小野亮・みずほ総合研究所主席研究員)
市場の乱高下が続けば、企業は設備投資を先延ばしし、資産価格の下落懸念から消費も減退する。さらに、中国など新興国の景気減速が米企業の業績悪化を招き、雇用や賃金にも悪影響を及ぼしかねない。そのような現状では利上げに耐えられないと判断されたのだ。
12月の利上げが濃厚
今後の焦点は、いつ、何を判断材料として利上げが決定されるのかだ。ほんの1カ月前までは10月利上げ説も広く聞かれたが、現時点では、「10月までに中国経済の底打ちが見えるとは考えにくい」との見方が多くなっている。