医療・介護費の
大幅削減にも貢献

 ディメンシアUKの代表のウェザーヘッドさんは「アドミラルナースの活動によって、自宅での暮らしが続けられることになったケースは多い。入院、入所へのゲートキーパーの役割を果たしている」と話す。

「ある地域で3人の看護師が10ヵ月、16の家族に関わったことで、その地域の医療や介護費を50万ポンド(約9000万円)削減させた」と数字を挙げる。

 ディメンシアUKの年間総収入は約200万ポンド(約3億8千万円)でその75%は国の医療システム、NHSから受け取っている。

 代表のイアン・ウェザーヘッドさんと妻で共同事業者でもあるキャロル・コートニー・ウェザーヘッドさんが、昨年11月に初来日し東京で講演した。そこで、キャロルさんが認知症の人の終末期の対応について体験を踏まえながら話した。

「死は自然なことなのに医療行為にされがちです。胃瘻は、QOLが向上しないので一般的には正当化できないと思う。死の過程として食べ物や水分をとらなくなることがある、と理解してほしい。だから食事の提供はするが、強制はしない」と自然死への共感をにじませた。

 抗生剤と点滴については「いずれも本人に打撃を与え不快感があるのに、家族が勧めてしまう」と、本人本位の考え方を明確に表明した。アドミラルナースの教育にはこうしたトップの考え方が浸透しているように思われる。

 英国では介護者を支援する団体、「ケアラーズUK」が設立されて以来、介護者支援の法整備が進んできた。家族介護者を含めて友人、知人、ボランティアなど無給の支援者をケアラーと言う。

 1995年のケアラーズ法で自治体に対しケアラーへの支援を努力義務と位置付けたことに始まり、2000年の介護者と障害児法、2004年の介護者の機会均等法、2006年の仕事と家庭法と積み重ねている。

 そして、2014年の改正ケアラーズ法では、自治体のケアラー支援を「権限」から「責務」に強化した。こうした法整備でケアラーたちの権利意識も高まり、その支援者であるアドミラルナースはさらに増えていきそうだ。