小負担・中福祉ではサスティナブルなはずがない。以上のデータを見れば、公式1により、負担を上げ給付を効率化して両者をバランスさせなければならないことは一目瞭然である。つまり社会保障と税の一体改革を行わなければならないということだ。

なぜ他の税ではなく消費税なのか?

 次になぜ消費税か。それは高齢化が主因である。日本が若い国であれば(=生産年齢人口が多いのであれば)所得税で対応することもできるが、生産年齢人口が細り、高齢者が増えつつある現状では年齢フリーで(年齢に関わらず)市民全員に負担をしてもらう消費税の方がはるかに公平にかなう。IMFなどがその代表であるが「早く消費税を上げて、両者をバランスさせるように」というアドバイスがグローバルに寄せられるのは、全くもってそのことが理の当然に適っているからである。グローバルに見れば、他に解はないということであろう。

 次に、軽減税率の問題を考えてみよう。公式2からすれば、軽減税率があまりいいアイデアではないことが直ちに了解されるだろう。もちろん低所得者に配慮して生活必需品の価格を抑えるという考え方自体は、決してまちがってはいない。しかし、軽減税率を導入すれば、各団体が「これは生活必需品です」と必死でロビー活動を展開し、政治家の口ききが増えるだけであることは、誰しも容易に想像がつくだろう。要するに軽減税率は「対象品目の線引き」が極めて難しいのだ。

 次に、線引きが立派に政治決断されたと仮定しよう。その場合、税率は複数になるため、すべての事業者は経理方式を改めなければならない。現在わが国の取引で使われている請求書は、品名も大雑把な区分で良く、金額も税込み価格だけで足りる(税率や税額を書く義務はない)。しかし複数税率になると、おそらく品名を明記し(生活必需品かどうかが分かるように)、商品ごとに税率や税額を記載するインボイス(税額票)方式に改めざるを得ないだろう。

 これは特に中小の事業者にとっては大変な負担となる。以上の2点を考えるだけでも、軽減税率の導入が一筋縄ではいかないことが了解されよう。要するに軽減税率はシンプルではないのだ。管理コストがかさんで、大きな政府になってしまうのである。軽減税率に賛成する識者はヨーロッパの例をよく持ち出すが、これはむしろ歴史的な個別の経緯によるものであって、低所得者の生活必需品の負担を軽くしようと考えて政策的に導入したものではないことに注意する必要がある。