生活必需品の負担を軽くする方法には
他にどんなものがあるか?

 次に視点を変えて、低所得者の生活必需品の負担を軽くする方法にはどんなものがあるかという問題を考えてみよう。ところで、そもそもこのような議論が生じるのは「消費税には逆進性がある」という思い込みによるものだが、実は必ずしもそうではないのだ。ただしその点は以前にも指摘したので、ここではひとまずその問題は措いて話を進めよう。

 まず第1には、以前にこのコラムでも述べたことがあるが、わが国の農業保護(関税をテコにした価格支持政策)の隠れた負担がとてつもなく重いことである。農産物の内外価格差は消費者物価指数を1.1%押し上げており、逆進性が消費税よりも大きく、消費税率に換算すれば3.4%の引き上げに相当するという(いずれも日本経済研究センターの試算)。そうであれば、関税を撤廃して農家への所得補償を農業政策の基軸とすれば、食料品への軽減税率適用より、低所得者の負担感ははるかに軽くなるのではないか。

 次に、低所得者へシンプルに給付を行ううまい方策がないかどうかを考えることである。財務省案はこの中の1つと位置付けられるが、大切なことは、

1.農業保護の見直し
 2.シンプルな給付(マイナンバーカードを使う・使わないを含めて、いくつかの方法が考えられよう)
3.軽減税率

 以上の3つの方法を同じ土俵にのせて、数字・ファクト・ロジックでそれぞれの得失を丁寧に検証していくことが大切であろう。どの方法が低所得者の生活必需品の負担を軽くするために最も合理的で望ましいか、ということである。

 私見では、まず農業保護を見直し(消費税率換算3.4%と効果が大きい)、それでも足りないと政治家が判断するのであれば、シンプルな給付を考えるべきだと思料するかどうか。どうしても議論がまとまらない場合は、2014年4月に消費税率を8%に引き上げた時から、低所得者を対象に配っている臨時福祉給付金を(議論がまとまるまで)継続させればいいと考える。

 なお、食料品を離れて新聞などにも軽減税率を適用すべきだ、との意見もある。新聞好きな僕としては、民主主義の重要なツールである新聞を大切にすることには異論はないが、仮にそうだと政治が判断したとしても、例えば新聞事業への法人税率を軽減して、その分新聞代を安くする等、他の方法と軽減税率とどちらが社会の将来にとって望ましいのか、冷静に比較考量する必要があるだろう。