世界一の都市圏である東京。特にその中心となる23区は、広さと人の流動性の高さ故に、コミュニティ意識や土地柄といった要素があまりないようにも感じる。ただ、データや知識を積み重ねると、実はそうではないことが明らかになる。それぞれの区が、それぞれの特徴や「区民性」を持ちながら、それぞれの土地に人やビジネスを惹きつけているのだ。

 本連載では、そんな各区のデータを見ながら、その歴史や周辺情報と共に、23区それぞれの特徴、「実力」を明らかにして行きたい。第1回では、23区の中でも「ナンバーワン」がとりわけ多い、高級感溢れるエリア、世田谷区からはじめてみよう。

人口から財政規模まで
ナンバーワンづくし

 世田谷と言えば、まずは成城に代表される閑静な住宅地を思いながら、「高級」、「セレブ」と言ったイメージが強い。また、愛称で呼ばれる馴染みの地名がいくつかすぐに思い浮かぶのも特徴かも知れない。「シモキタ(下北沢)」「サンチャ(三軒茶屋)」「ニコタマ(二子玉川)」などなど、高級感に加えて、そんな世代を越えて人々を惹きつけるチャームポイントをいくつも抱えている地区なのだろう。

 ちなみに、ちょっとユニークな地名の由来には諸説あり、浅瀬を開拓すると言う意味の「せたかい」、台地に囲まれた狭い谷を表す「瀬戸ヶ谷」などがあげられる。歴史は古く、文献上の初出は1376年にさかのぼる。吉良氏の治家が上弦巻半分の地を鶴岡八幡宮に寄進したときの文書に、「世田谷郷」という記述がすでに登場しているという。

 その世田谷には“ナンバーワン”が多い。まず、何と言っても、人口だ。86万人を超える人口は23区中ナンバーワン。グラフで見ても明らかだが、第2位の練馬区(71万人)を大きく引き離している。

 そして、人口規模が最大であることに伴って、ナンバーワンになることも多い。世帯数、高齢者数、一人暮らしの高齢者数、若者(15~24歳)の数、納税義務者数、選挙人名簿登録者数、区役所職員数。他にも、出生数、死亡数、婚姻数などなど。財政規模も23区で最大だ。