税制に“抜け穴”が多いために
金持ちの税負担が少ない

――税率は高いのに、実際の税負担は低い。どうしてこんなことが起こるのでしょう?

 富裕層の中には、こっそり脱税している人もいるでしょう。ただ、それだけではなく、日本は租税特別措置法(国税に関する特例を定めた法律)によって、合法的な“抜け穴”が多い国と言えます。これは個人のみならず、法人も同じです。

 たとえば、トヨタ自動車が5年間、法人税を支払っていなかったことが分かって話題となりました。これは輸出企業に認められた特例を活用したからです。

 日本がきちんと税金を徴収する国になるためには、こうした法律の抜け穴をきちんとふさいでいく必要があります。マイナンバー導入だけでは、収入や資産を把握できる仕組みが整ったということに過ぎませんから。

 また、脱税に関して言えば、「脱税してやろう」と執念を燃やす人というのは、実はさほど多くはなく、むしろ「簡単にできちゃうからやっておこう」という程度の感覚の人が多い。こうした人たちは、マイナンバーで金融資産が把握されれば「じゃあ、ちゃんと払おうか」ということになると予想されます。もちろん、脱税に執念を燃やす人であれば、マイナンバーがあろうとも、うまく脱税できる手段を考えるでしょうが、そうでない人は素直に税金を払うようになるでしょう。

――もし日本が米国並みに税金を取れるようになれば、どのくらい税収が上がるのでしょう?

 ざっくりとした試算ではありますが、所得税だけで倍になる計算です。そうすれば、消費増税なんて必要なくなるでしょう。また、日本は所得税の課税最低限の水準も低い。つまり、所得の低い人からも税金を取る仕組みなのです。富裕層や企業が合法的な抜け穴を活用して納税額の低減を図ったり、悪質な脱税をする一方、所得の低い人は苦しい生活なのに税金を納めなくてはならない。これでは二極化が進んで当然です。

 また、所得の低い人たちは、マイナンバー導入で得をします。なぜなら、金融資産が把握されることで、生活保護が必要な水準の人であれば、より受給がスムーズにいくようになると思われるからです。