二次面接からは“もっとも優秀な人材”を面接官に据える
採用面接は会社にとっても応募者にとっても一番の勝負どころ。応募者は自分をよく見せることに全力を注いできますし、面接官は相手が用意してきた答え以上の情報(=本音)を引き出そうと努力します。
中小企業の採用面接では、手が空いている人が面接官になっている場合も結構あるのですが、それは絶対にやめてください。冒頭でも述べたように、欲しい人材を獲得するには、面接官としてのテクニックが必要だからです。
みなさんは、どういう人が面接官に適していると思いますか?
会話が得意な人でしょうか。洞察力のある人でしょうか。いろいろ考えられると思いますが、一番選びやすくて間違いないのは、社内でもっとも優秀な人を面接官にすることです。
というのは、まず面接官は企業の広告塔でもあるからです。面接官が優秀なら就活生の間でいい評判が得られますが、逆にダメな印象を受ければ悪評につながることもあります。
そして、面接官に求められるのは、話上手ではありません。聞き上手で褒め上手、会話をリードできることです。話しがうまい人を面接官にする会社もありますが、聞き上手な人のほうが応募者も本音を話しやすいので成功します。
そういった意味では、トップ営業マンも面接官として適任です。コミュニケーション力が高いので、聞き手となって応募者の本音を引き出しながらも、巧みなセールストークで自社の魅力をアピールできます。
人当たりがよく、人に好かれるスキルを持っていますから、応募者もガードを下げて自然に話せるはずです。私の経験からも、トップ営業マンを面接官に据えると選考辞退率が低いケースが多く、理由の真相もこういったことに関係しています。
「評価シート」を作って面接の精度をUP
面接時に用意しておきたい「評価シート」について説明します。評価シートは必ず用意してください。手間はかかりますが、メリットが多く、この記録を残しておくことで、長い目でみれば会社の方針、成長を「見える化」できるからです。
<(1)同じ失敗を繰り返さない>
面接では良い人材に見えても、「すぐに辞めてしまった」「面接のときと印象が違う」といったことが、採用の現場でよく起こります。きちんと面接の記録を残し、合格理由を明確にすることで、同じような失敗を防ぐことができます。
<(2)面接の結果に責任を持つ>
誰が面接して、どの応募者に、なぜ合格を出したのか、その記録をデータとして積み重ねていきます。面接官の選任や教育にも役立ちます。
<(3)誰がやっても同じ面接ができる>
聞く内容などを事前に頭に入れておいても、いざ面接となると忘れてしまいがち。応募者のどこを見ればいいのか、判断基準を常に確認しながら面接できます。
<(4)次の面接に役立てる>
面接は少なくとも2回、できれば3回行えると失敗が少なくなります。前回の面接で確認できなかった質問や気になった点を記録に残しておき、次回の面接をより有意義に行います。
評価シートは面接後に記入するものですから、自社の採用基準に基づいて、評価方法や評価項目、評価ポイント、合格点などを決めておきましょう。本書では面接評価シートの見本を掲載しています。