採用した後になって、問題社員だったと悔やんでも後の祭り。さまざまな問題を引き起こし、想像以上の損害を受ける場合もあります。日本の法律では、社員を解雇するのは難しいもの。問題社員を雇うことは長い目でみれば数億円の損失に値することも。そこで第2回目は、社長や人事担当者を悩ますダメ人材の実例を取り上げます。ダメ人材への対処&採用の防止策を学べば、成功率は確実にUPするはずです。

知名度の低い会社でも独自の採活メソッドで成功に導いてきた「採用のプロ」が教える、中小企業のための最強の人材採用マニュアル『低予算でも欲しい人材だけが来てくれる! 社長・人事・総務のための新しい採用活動の本』から抜粋し、再構成してご紹介しています。(構成・文 佐藤祥子)

実例その1「面接当日にすっぽかす、非常識な応募者」

「約束の時間が過ぎたのに来ない。面接をドタキャンされてしまった!」

 これは実際によくあることです。来られない旨を連絡してくれる人はいますが、そのまま連絡もなくすっぽかす人が残念ながら少なくありません。こういう非常識な人は普通に考えればお断りですよね。

 ただ、このすっぽかされる確率を下げることはできます。何をするかというと、面接日の1~2日前に電話をかけて、面接日時の再確認をするのです。

応募者にしてみれば、「この会社は自分のことを気にかけてくれている」と印象がよくなり、「よし、面接をがんばるぞ!」と気持ちも引き締まるはずです。

牧伸英(まき・のぶひで)
一般社団法人採用面接士協会理事、特定社会保険労務士、e-人事株式会社代表取締役、ぜぜ社労士事務所代表、一般社団法人日本歯科労務コンサルタント協会代表理事、滋賀県社会保険労務士会理事、同会湖西支部支部長、日本FP協会滋賀支部副支部長(2015.9現在)。大学を卒業後、営業職、経営コンサルタント、人事コンサルティング会社を経て独立開業。現在は、採用面接士®として、採用選考プロセスの設計、適性検査の導入、オリジナル採用基準の構築支援、面接官の育成、採用面接への同席&採否の助言、内定者フォローまで展開しており、支援先企業は約400社。高校生・大学生への就活支援も手掛けており、支援実績は延べ3000人以上。
ホームページ http://www.e-jinjibu.jp
メールマガジン https://55auto.biz/e-jinji/touroku/entryform6.htm

 そもそもドタキャンするのは、自分が面接に行かなくても会社は気にしないだろうと思っているからです。ならば「こちらはきちんと準備して待っていますよ」という姿勢を示しておく。電話を一本入れるだけで、ドタキャンされたり、すっぽかされる確率は確実に下がります。

 実は私も無料セミナーを実施するときによくこの手を使います。参加費が無料なのでとりあえず申し込んでおこうという人が多く、当日はその全員が来るわけではありません。そこで事前に日時と内容などを記載した確認メールを送るようにしたのですが、何もしないときより参加率がグンと上がりました。

 採用面接の場合も、せっかく応募してくれた人と一度も会わずに終わるのは少しもったいない気がします。すっぽかすような人はお断り! とはいえ、一人でも多くの可能性のある人と出会いたいのが本音です。

 黙っていても応募者が集まる大企業ならそれでもいいのですが、募集に苦労する中小企業は何かしら手を打たなければ勝てません。ましてや今は売り手市場の時代です。とりあえずエントリーしている人も多いので、実情はどうであれ、一度は目にとめてくれた人を逃がさない工夫が必要です。

 事前に電話連絡を入れたにもかかわらずすっぽかすような人は、これこそお断りです。こんな常識に欠ける人が入社してしまったら、もしかしたら無断欠勤の常習者になるかもしれませんし、大事な取引先との約束をすっぽかしてしまう人かもと疑ってしまいます。