水戸市と同規模の人口が消える一方、50歳以上の初産が41人いた2014年の日本。溺死はなぜ冬に集中発生し、首都圏では病院で死ぬ人の割合がなぜ少ないのか。2014年の人口動態統計から、驚きの「日本人の死に方」を考察してみよう。

毎年、水戸市と同規模の人口が消え、
25秒に1人が亡くなる日本

 厚生労働省が発表する重要な統計の1つに人口動態統計がある。人口の動態、つまりは人口が増えたり減ったりするその数値と、増減の原因を調べたものだ。

納得の死もあれば、意外な死も。統計から透けて見える日本人の死に様とは

 詳細な報告書は来年春に刊行されるが、9月初旬にホームページで調査の確報値が公開された。ここから、人口が減る、すなわち日本人の死がいかなる現状なのかを読み取ってみよう。

 昨年死亡した人は127万3004人。死因別では悪性新生物(がん)がトップ36万8103人だった。

 一方、出生数は100万3539人で自然増減数は26万9465人の減。毎年、水戸市、徳島市、福井市と同じくらいの人口が消えていることになる。

 ご丁寧なことに25秒に1人が亡くなっているという試算も付けられている(ちなみに、出生は31秒、婚姻は49秒、離婚は2分22秒に1件としている)。

 死因の上位はトップの悪性新生物に次いで心疾患19万6926人、肺炎11万9650人、脳血管疾患11万4207人と続く。

 その悪性新生物の発生場所であるが、最も多いのは「気管、気管支及び肺」の7万3396人、次いで「胃」4万7903人、「結腸」の3万3297人。

 性に特有の新生物としては男性の「前立腺」が1万1507人、女性は「子宮」が6429人、「卵巣」が4840人である。しかし「乳房」は男性の死亡者も83人いる(女性は1万3323人)ことが興味深い。

 少ない死因にも目を向けていこう。目及び付属器の疾患による死者は3人、耳及び乳様突起の疾患が12人。慢性副鼻腔炎(いわゆる蓄膿症)22人。歯肉炎と歯周病6人でう蝕(いわゆる虫歯)1人。顔の器官で死ぬ人はほとんどいないようだ。

 感染症では、かつて世界中で多くの人を死に至らしめた腸チフス(1947年には936人)、赤痢はゼロ(同7765人)、梅毒は18人(同5501人)。アルコール(による精神及び行動の障害、以下同)325人、アヘン、大麻、コカイン、タバコはゼロだが、揮発性溶剤は1人。ヘビ毒によるもの5人、ハチ14人、ムカデ1人、落雷2人。いろんな意味で、日本はずいぶんと安全になった。

 こんな死因もある。栄養失調は1697人で、逆の肥満と過剰摂食64人。日射病熱射病が555人に対して低体温症は826人。