かつて、毛沢東は「農村から都市を包囲する」戦略を打ち出し、中国革命を勝利に導いた。最近、この毛沢東の戦略でビジネスを進める地方の企業が増えた。たとえば、全国で中華料理以外のファストフード店の利用率ベスト5に食い込んだ「徳克士(Dicos)」がその典型的な例である。

 上海や北京などの大都市部では無名に近いレストランチェーン店だが、地方に行くと、その存在感が侮れない。1996年に1号店をオープンした同社は、もっぱら二線・三線都市を狙う。2009年6月には、1000店舗を持つ規模になった。

 ちなみに1000番の店は山東省泰安市にある。出店先の都市の規模やランキングを見ても、次第に大きい方に移動する傾向が見られる。地方都市から進撃する同社の戦略はまさしく現代版の「農村から都市を包囲する」戦略そのものだ。2009年末現在、382の都市に出店、3億人以上の消費者をカバーしており、売上高も30億元を超えたという。

 中国の都市ランキングは幾通りかある。行政のラインから見れば、都市ランキングは、直轄市、副省級市、省会市(省都市)、地級市、県級市の順となる。

 副省級市とは、1994年に指定されたある規模以上の都市のことを言う。現在のところ、武漢、厦門、広州、瀋陽、西安、済南、長春、寧波、深セン、広州、成都、青島、ハルビン、南京、杭州、という15の都市だ。日本の政令指定都市に似ている。

 しかし、商業または市場という視点から見ると、都市の等級分けはまた違った様相を見せる。一線都市、二線都市、三線都市といった分け方がよく見られる。

一線都市:消費力が高く消費人口も多い。上海、北京、天津、広州、深セン、武漢、南京、瀋陽、西安、杭州など。
二線都市:青島、長沙、合肥、南昌、長春、寧波、済南などの地方の中核都市。
三線都市:二線都市を除いた他の地級市のほとんど。経済の発展により、例外もたくさん出てきた。たとえば、蘇州は地級市だが、その消費力は一線都市に引けを取らない。
四線都市:ランク外の多くの県級市。呼び名は定着していない。そこにも例外がある。蘇州市の傘下にある昆山市は二線都市に迫る消費力を見せている。